The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「ふー…。

…あれ、ハリーにロン、どうしたんだ?」

今入ってきたばかりのサクヤは
トイレの小部屋の出入り口で立ち尽くしている二人を見つけ、
なにげなく尋ねた。

「あれ、ね、猫の毛だったの!」

ハーマイオニーの泣き喚く声が聞こえ、
サクヤは走って小部屋を覗き込んだ。

「ミ、ミリセント・ブルストロードは猫を
飼っていたに、ち、違いないわ!
それに、このせ、煎じ薬は動物変身に使っちゃいけないの!」

「………っ、」

ハリーは視界の隅に鮮明な色が現れたので、
何事かと思い見てみると、
サクヤがハーマイオニーを凝視して固まっていた。
鼻からはためらいもなく鼻血が滴っている。

「サクヤ!?
ちょっ、大丈夫!?」

「お、おぉー!
全っ然大丈夫だ!」

そう言っている間にも、血は遠慮なく出続けている。

「ハ、ハル?
耳触ってもいいかな…!」

「え?」

ハーマイオニーが答える前に、サクヤはすでに触っていた。

触るたびに猫のようにぴくぴく動くそれは、
サクヤにはストライクだったようだ。

「かっ、かわいい…!!」

「サクヤ、落ち着いて…」

ロンがサクヤを引きはがした。

「ハーマイオニー、医務室に行こう。
マダム・ポンフリーはうるさく追及しない人だし…」

その間にハリーが割り入り、ハーマイオニーを連れ出した。

「し、しっぽ…っ!」

ハーマイオニーの後ろ姿を見たサクヤは、
ローブからのぞくしっぽにさらに声を上げた。


*****


医務室にハーマイオニーを送り終えた
ハリーとロンはやがて談話室に戻っていった。
ハーマイオニーは猫の耳としっぽがなくなるまで
医務室に泊まることになった。
サクヤも理由―鼻血が止まらないとか何とか―を
つけて泊まることとなった。

「恥ずかしいのに…」

「だぁーって、一人じゃ寝らんないんだもん!」

ニコニコと満面の笑みでハーマイオニーを見つめながら、
サクヤが言った。

「よーしよしよし…」

サクヤが顎下をカリカリ撫でてやると、
ハーマイオニーののどがゴロゴロと鳴った。

「……っ!」

「完っ全、猫だね」

自分ののどが気持ちよさげに鳴いたので、
ハーマイオニーは顔を真っ赤にした。

「かわいいなぁ、もう!」

サクヤの溺愛ぶりにも顔を赤くしたのは、
彼女自身だけの秘密である。



>>To be continued

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