The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




とうとう学期が終わり、
降り積もった雪と同じくらい深い静寂が城を包んだ。
ハリーにとっては、憂鬱どころか安らかな日々だった。
サクヤやハーマイオニーや、ウィーズリー兄弟たちと一緒に、
グリフィンドール塔を思い通りにできるのは楽しかった。
誰にも迷惑をかけずに大きな音を出して「爆発ゲーム」をしたり、
ひそかに決闘の練習をした。
フレッド、ジョージ、ジニーも、
両親と一緒にエジプトにいる兄のビルを訪ねるより、
学校に残る方を選んだ。
パーシーは「おまえたちの子供っぽい行動はけしからん」と、
グリフィンドールの談話室にはあまり顔を出さなかった。
「クリスマスに僕が居残るのは、この困難な時期に
先生方の手助けをするのが、監督生としての義務だからだ」
と、パーシーはもったいぶって説明していた。

サクヤは皆を見計らってこっそりと抜け出しては、
「必要の部屋」で動物もどきの練習を繰り返していた。
その甲斐あってか、少しずつ上手くいくようになっていた。


クリスマスの朝が来た。
寒い、真っ白な朝だった。
寮の部屋にはハリーとロンしか残っていなかったが、
朝早くに起こされてしまった。
二人分のプレゼントを持って、
すっかり着替えをすませたサクヤとハーマイオニーが、
部屋に飛び込んできたのだ。

「起きなさい」

ハーマイオニーは窓のカーテンを開けながら、
大声で呼びかけた。

「サクヤ、ハーマイオニー…
君たちは男子寮に来ちゃいけないはずだよ」

「あれ?そんな決まりはないはずだけど?
はい、プレゼント」

サクヤがハリーとロンに
それぞれクリスマスプレゼントを差し出しながら応えた。

「わたしたち、もう一時間も前から起きて、
煎じ薬にクサカゲロウを加えてたの。

完成よ」

ハリーは途端に目がパッチリ覚めて、起き上った。

「ほんと?」

「最高のクリスマスプレゼントだろ?」

サクヤがニヤッと笑った。

「やるんなら、今夜だわね」

ちょうどその時、ヘドウィグがスイーッと部屋に入ってきた。
嘴にちっぽけな包みを咥えている。

「やあ」

ベッドに降り立ったヘドウィグに、ハリーは嬉しそうに話しかけた。

「また僕と口を聞いてくれるのかい?」

ヘドウィグはハリーの耳をやさしくかじった。
その方が、運んできてくれた包み
―爪楊枝一本と、『夏休み中も学校に残れないかどうか
聞いておけ』というメモ…ダーズリー一家からのだ―
よりずっといい贈物だった。

「暴れ柳にぶつかってから、
ずっと口を聞いてくれなかったんだ」


*****


ホグワーツのクリスマス・ディナーだけは、何があろうと楽しい。
たとえこれからポリジュース薬を飲むことを恐れている人だって、やっぱり楽しい。
大広間は豪華絢爛だった。
霜に輝くクリスマス・ツリーが何本も立ち並び、
ヒイラギとヤドリギの小枝が、天井を縫うように飾られ、
魔法で、天井から暖かく乾いた雪が降りしきっていた。
ダンブルドアは、お気に入りのクリスマス・キャロルを2,3曲指揮し、
ハグリッドは、エッグノッグをゴブレットでがぶ飲みするたびに、
もともと大きい声がますます大きくなった。
それぞれがそれぞれのクリスマスの楽しみ方をしていると、
ハーマイオニーが3人を追い立てて大広間から連れ出し、
今夜の計画の詰めに入った。

「これから変身する相手の一部分が必要なの」

ハーマイオニーは、まるでハリーとロンに
スーパーに行って洗剤を買ってこいとでもいうように、
こともなげに言った。

「当然、クラッブとゴイルから取るのが一番だわ。
マルフォイの腰巾着だから、あの二人にだったらなんでも話すでしょうし。
それと、マルフォイの取り調べをしてる最中に、
本物のクラッブとゴイルが乱入するなんてことが絶対ないようにしておかなきゃ」

「でも、その対策はちゃんと考えてある」

ハーマイオニーの説明に度肝を抜かれた顔をしている二人を見て、
サクヤが次の説明をした。

「簡単な眠り薬が仕込まれたケーキだ。
お前らがこれをクラッブとゴイルに見つかるようなところに置いておけばいい。
そしたらきっと勝手に食べてくれるだろう。
眠ったら、髪の毛を2,3本抜いてこい。
それから、本物の二人は物置にでも隠しとけ」

ハリーとロンは大丈夫かなと顔を見合わせた。

「サクヤ、ハーマイオニー、僕、ダメなような…」

「それって、ものすごく失敗するんじゃ―」

しかし、ハーマイオニーの目には、厳格そのもののきらめきがあった。
時々マクゴナガル先生が見せるあれだ。

「煎じ薬は、クラッブとゴイルの毛がないと役に立ちません」

断固たる声だ。

「あなたたち、マルフォイを尋問したいの?したくないの?」

「あぁ、わかったよ。わかったよ」

とハリーが言った。

「でも、君らは?
誰の髪の毛を引っこ抜くの?」

「オレらのは、もう準備してある。
オレはパンジーの髪を頂戴した。
あの決闘クラブの時にな、ちょっとした喧嘩を吹っ掛けたんだ」

「わたしも、決闘クラブの時にね。
取っ組みあったミリセント・ブルストロードに
首を絞められそうだった時、わたしのローブに髪の毛が一本残ってたの!
それに、パーキンソンもブルストロードも、
今はクリスマスで帰っちゃっていないし―だから、スリザリン生には、
学校に戻ってきちゃったって言えばいいわ」

「んじゃ、そろそろ準備してくるから、
髪の毛採ってきたら、いつものとこに来い。
いこう、ハル」





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