The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「…まとめると、
屋敷しもべ妖精にとってハリーは救世主みたいなもんで、
そんなオレたちが『秘密の部屋』に関して
危ない目に遭いそうだから、
今度は屋敷しもべ妖精が、ドビーが、
ハリーを守りたい、と?

…で、『部屋』は再び開かれた…?」

ドビーはハッとしてベッドの脇机にあった水差しをつかんで
自分を打とうとしたが、それはサクヤによって阻まれた。

「じゃあ、『秘密の部屋』がほんとにあるんだな?」

「そして―君、それが以前にも開かれたことがある
って言ったね?教えてよ、ドビー!」

ドビーの手がソロソロと水差しに伸びたのでサクヤが抑えつけた。

「だけど、僕はマグル出身じゃないのに―その部屋が
どうして僕にとって危険だというの?」

「ドビー、答えて!

『秘密の部屋』を以前開いたのは誰?
なんでハリーはマグル出身じゃないのに
危険が及ぼうとしてるの?」

ドビーが逃げないようにしっかりと抑えつけながら、
サクヤがそう尋ねた。

「ドビーには言えません。言ってはいけないのです。
家に帰って。ハリー・ポッター、家に帰って!」

「僕はどこにも帰らない!」

「それに、オレたちの親友の中に、
マグル出身者がいる!
そんなのほっておけるか!」

「ハリー・ポッターは、サクヤ・フェリックスは、
友達のために自分の命を危険にさらす!」

ドビーは悲劇的な恍惚感でうめいた。

「なんと気高い!
なんと勇敢な!
でもハリー・ポッターは、まず自分を助けなければいけない。
そうしなければ。ハリー・ポッターは、決して…」

ドビーは突然凍りついたようになり、
コウモリのような耳がピクピクした。
ハリーにもサクヤにも聞こえた。
外の廊下をこちらに向かってくる足音がする。

「ドビーは行かなければ!」

しもべ妖精は恐怖におののきながら呟いた。
パチッと大きな音がした途端、
ドビーはサクヤの腕から忽然と姿を消した。

「あ、あれ?いない…。

ってかハリー!オレどうしよう…!?」

どんどん近づいてくる足音に、サクヤとハリーは慌てた。



次の瞬間、ダンブルドアが後ろ向きで入ってきた。
長いウールのガウンを着てナイトキャップをかぶっている。
石像のような物の片端を持って運んでいる。
そのすぐ後、マクゴナガル先生が足の方を持って現れた。
二人は持っていたものをドサリとベッドに降ろした。

「……っ、」

ハリーは固くなってベッドに潜り込んでいた。

「…咄嗟にベッドに入っちゃった…」

呟いたサクヤは小さくなって
ハリーのベッドの中に潜んでいた。

「マダム・ポンフリーを――」

ダンブルドアがささやいた。

マクゴナガル先生がハリーのベッドの端を
横切ったときはヒヤヒヤしたが、
ハリーが寝ていること自体も
忘れているんじゃないかと思うほどバタバタしていた。

ハリーは寝ているふりを、
サクヤはできる限り小さくなって息をひそめた。

慌ただしい声が聞こえてきたと思うと、
マクゴナガル先生がスイッと姿を現した。
そのすぐ後にマダム・ポンフリーが、
ねまきの上にカーディガンを羽織りながらついてきた。
ハリーとサクヤの耳にあっと息を呑む声が聞こえた。

「何があったのですか?」

ベッドに置かれた石像の上にかがみ込んで、
マダム・ポンフリーがささやくようにダンブルドアに尋ねた。

「また襲われたのじゃ。
ミネルバがこの子を階段の所で見つけてのう」

「この子のそばに葡萄がひと房落ちていました」

マクゴナガルの声だ。

「たぶんこの子はこっそり
ポッターのお見舞いに来ようとしたのでしょう」

ハリーは胃袋がひっくり返る思いだった。

「(やっぱり…声が聞こえたから…。
犠牲者が出ちまったのか…)」

息をひそめるサクヤも少しシュンとしたのが、ハリーにも分かった。

「いったい、誰が…?」

ハリーが薄眼を開けた時、サクヤもハリーの肩口から
石像が横たえられたベッドをのぞき見た。

「っ!?」

コリン・クリービーだった。
目を大きく見開き、手を前に突き出して、カメラを持っている。

サクヤはなんとか声を上げるのを抑えたが、
ハリーの背中をキュッと掴んだ。

「石になったのですか?」

マダム・ポンフリーがささやいた。

「そうです」

マクゴナガル先生だ。

「考えただけでもゾッとします…。
アルバスがココアを飲みたくなって
階段を下りていらっしゃらなかったら、
いったいどうなっていたかと思うと…」

三人はコリンをじっと見下ろしている。
ダンブルドアはちょっと前かがみになって
コリンの指をこじ開けるようにして、
握りしめているカメラをはずした。

「この子が、襲った者の写真を撮っているとお思いですか?」

マクゴナガル先生が熱っぽく言った。
ダンブルドアは何も言わず、カメラの裏蓋をこじ開けた。

シューッと音を立てて、カメラから蒸気が噴き出した。

「なんてことでしょう!」

マダム・ポンフリーが声を上げた。

三つ先のベッドからハリー達のところまで、
焼けたプラスチックのツーンとする臭いが漂ってきた。

「溶けてる」

マダム・ポンフリーが腑に落ちないという顔をした。

「全部溶けてる…」

「アルバス、これはどういう意味なのでしょう?」

マクゴナガル先生が急き込んで聞いた。

「その意味は」

ダンブルドアが言った。

「『秘密の部屋』が
再び開かれたということじゃ」

マダム・ポンフリーはハッと手で口を覆い、
マクゴナガル先生はダンブルドアはダンブルドアをじっと見た。

「でも、アルバス…いったい…誰が?」

「誰がという問題ではないのじゃ」

ダンブルドアはコリンに目を向けたまま言った。

「問題は、どうやって、じゃよ…」

ハリーは薄明かりの中でマクゴナガル先生の表情を見た。
マクゴナガル先生でさえ、ハリーと同じように
ダンブルドアの言ったことが分からないようだった。



やがて3人が出て行ったあと、
医務室にはサクヤの
むせび泣く声だけが響いていた。




>>To be continued

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