The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




マダム・ポンフリーはおかんむりだった。

「まっすぐわたしのところに来るべきでした!」

マダム・ポンフリーは憤慨して、30分前まではれっきとした腕、
そして今や哀れな骨抜きの腕の残骸を持ち上げた。

「骨折ならあっという間に治せますが…、
―骨を元通りに生やすとなると…」

「先生、できますよね?」

ハリーはすがる思いだった。

「もちろん、できますとも。
でも、痛いですよ」

マダム・ポンフリーは怖い顔でそう言うと、
パジャマをハリーの方に放ってよこした。

「今夜はここに泊まらないと…」

ハリーがロンの手を借りてパジャマに着替える間、
ハーマイオニーはベッドの周りに張られたカーテンの外で待った。
サクヤは着替えを手伝おうとしたのだが、ハリーに断られ、
ベッドに背を向けて座っていた。

「だだ、だって、サクヤは女の子でしょ!?」

「別に男だとか女だとか…
そんなの友達に関係ないじゃんかよ」

サクヤはぶーぶーと口を尖らせイジケている。

「ハーマイオニー、これでも
ロックハートの肩を持つっていうの?えっ?」

ハリーの萎えた指を袖口から引っ張り出しながら、
ロンがカーテン越しにハーマイオニーに話しかけた。

「頼みもしないのに、むしろ断ってるのに、
骨抜きにしてくれるなんて」

「誰にだって、まちがいはあるわ。
それに、もう痛みはないんでしょう?ハリー?」

「ああ」

ハリーが答えた。

「痛みもないけど、おまけになんにも感じないよ」

ハリーが着替え終わってベッドに飛び乗ると、
腕は勝手な方向にパタパタはためいた。

「へぇ、なんか面白いな!」

サクヤがハリーの右腕の肘だった辺りを掴んで
パタパタさせた。

「患者で遊ばないでくださいフェリックス。
ポッター、今夜は辛いですよ」

カーテンの向こうから
ハーマイオニーとマダム・ポンフリーが現れた。
マダム・ポンフリーはサクヤにそう言うと、
「骨生え薬のスケレ・グロ」とラベルの貼ってある
大きな瓶をベッドサイドの机に置いた。

ビーカーになみなみと湯気の立つ薬を注ぎ、
ハリーはそれを渡しながら、マダム・ポンフリーが言った。

「骨を再生するのは荒療治です」

スケレ・グロを飲むことがすでに荒療治だった。
一口飲むと口の中も喉も焼けつくようで、
ハリーは咳込んだり、むせたりした。
マダム・ポンフリーは「あんな危険なスポーツ」とか、
「能無しの先生」とか、文句を言いながら出て行き、
サクヤ、ロン、ハーマイオニーが残って、ハリーが水を飲むのを手伝った。

「とにかく、僕たちは勝った」

ロンは顔中をほころばせた。

「ものすごいキャッチだったなあ。
マルフォイのあの顔…殺してやる!って顔だったな」

「あのブラッジャーに、マルフォイが
どうやって仕掛けをしたのか知りたいわ」

ハーマイオニーが恨みがましい顔をした。

「(ハルたちの中では
“犯人=ドラコ”は決定みたいだな…。
可能性はゼロじゃあないけど)」

サクヤは苦笑いをした。

「質問リストに加えておけばいいよ。
ポリジュース薬を飲んだらあいつに聞く質問にね」

ハリーはまた横になりながら言った。

「さっきの薬よりましな味だといいんだけど…」

「スリザリンの連中のかけらが入ってるのに?
冗談言うなよ」

ロンが言った。

そのとき、医務室のドアがパッと開き、
泥んこでびしょびしょのグリフィンドール選手全員が
ハリーの見舞いにやってきた。

「ハリー、チョーすごい飛び方だったぜ」

ジョージが言った。

「たった今、マーカス・フリントが
マルフォイを怒鳴りつけてるのを見たよ。
なんとか言ってたな―スニッチが
自分の頭の上にあるのに気がつかなかった、とか。
マルフォイのやつ、しゅんとしてたよ」

みんながケーキやら、菓子やら、かぼちゃジュースやらを持ち込んで、
ハリーのベッドの周りに集まり、
まさに楽しいパーティーが始まろうとしていた。

そのとき、マダム・ポンフリーが鼻息も荒く入ってきた。

「この子は休息が必要なんですよ。
骨を33本再生させるんですから。
出て行きなさい!出なさい!」

ハリーはこうして一人ぼっちになり、
誰にも邪魔されずに、萎えた腕のズキズキという痛みと
たっぷりつき合うことになった。






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