The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




ハリーは誰よりも高く舞い上がり、
スニッチを探して四方に目を凝らした。

「調子はどうだい?傷モノ君」

マルフォイが箒のスピードを見せつけるように、
ハリーのすぐ下を飛び去りながら叫んだ。
ハリーは答える余裕がなかった。
ちょうどその瞬間、
真っ黒の重いブラッジャーがハリーめがけて突進してきたからだ。
間一髪でかわしたが、ハリーの髪が逆立つほど近くをかすめた。

「危なかったな!ハリー」

ジョージが棍棒を手に、ハリーのそばを猛スピードで通りすぎ、
ブラッジャーをスリザリンめがけて打ち返そうとした。
ジョージがエイドリアン・ピューシーめがけて
強烈にガツンとブラッジャーを叩くのを、ハリーは見ていた。
ところが、ブラッジャーは途中で向きを変え、
またしてもハリーめがけてまっしぐらに飛んできた。

ハリーはひょいと急降下でかわし、ジョージがそれをマルフォイめがけて強打した。
ところが、ブラッジャーはブーメランのように曲線を描き、
ハリーの頭を狙い撃ちしてきた。

ハリーはスピード全開で、グラウンドの反対側めがけてビュンビュン飛んだ。
ブラッジャーがあとを追って、ビュービュー飛んでくる音が、ハリーの耳に入った。

「どうなってんだ…?」

下で見ていたサクヤが異変に気づいた。

「あのブラッジャー、執拗にハリーだけを狙ってる…。
普通、なるべくたくさんの選手を振り落とそうと、
あちこち飛び回るのに…」

フレッドが力任せにブラッジャーをかっ飛ばしても、
まるで磁力で引きつけられたようにハリーめがけて突進してきた。

ついには雨も降り出し、最悪の状況になってしまった。

「誰かが不正をはたらいたんだ…!
じゃないとおかしすぎる…」

サクヤは箒に跨り飛び出した。
マダム・フーチのもとへ飛び寄ると、タイムアウトを要求した。
マダム・フーチはホイッスルを鳴らし、試合を止めた。

サクヤはチームメンバーが集まる地面へ降り、ハリーの無事を確認した。

「何をやってるんだ?」

観衆のスリザリン生が野次る中、グリフィンドール選手が集まり、
ウッドが詰問した。

「ボロ負けしてるんだぞ、60対0だ。
フレッド、ジョージ、アンジェリーナがブラッジャーに邪魔されて
ゴールを決められなかったんだ。
あのときどこにいたんだ?」

「オリバー、俺たち、その6メートルぐらい上の方で、
もう一つのブラッジャーがハリーを殺そうとするのを食い止めてたんだ」

ジョージが腹立たしげに言った。

「オレも見てた―…あの動きは普通じゃない。
誰かが細工したんだ。
ハリーに付き纏って離れない」

サクヤもイライラしているようだった。

「スリザリンのやつらが何か仕掛けたんだ。
ハリー以外狙わないって、おかしいだろ」

フレッドも怒っている。

「しかし、最後の練習のあと、
ブラッジャーはマダム・フーチの部屋に、鍵をかけて
ずっと仕舞ったままだった。
練習のときは何も変じゃなかったぜ…」

ウッドは心配そうに言った。

マダム・フーチがこっちへ向かって歩いてくる。
その肩越しに、ハリーはスリザリン・チームが
自分の方を指差してヤジっているのを見た。

「聞いてくれ」

マダム・フーチがだんだん近づいてくるので、
ハリーが意見を述べた。

「君たち二人が、ずっと僕の周りを飛び回ってたんじゃ、
僕の袖の中にでも、むこうから飛び込んでくれない限り、
スニッチを捕まえるのは無理だよ。
だから、二人とも他の選手のところに戻ってくれ。
あの狂ったブラッジャーは僕に任せてくれ」

「そんな!」

サクヤがすかさず抗議した。

「ダメだそんなの!
危険すぎる!」

「オリバー、そんなの正気の沙汰じゃないわ」

アリシア・スピネットが怒った。

「ハリー一人にあれを任せるなんてダメよ。
調査を依頼しましょうよ―」

「今中止したら、没収試合になる!」

ハリーが叫んだ。

「たかが狂ったブラッジャー一個のせいで、
スリザリンに負けられるか!
オリバー、さあ、僕をほっとくように、あの二人に言ってくれ!」

「オリバー、すべて君のせいだぞ。
『スニッチをつかめ。然らずんば死あるのみ』―そんな
バカなことをハリーに言うからだ!」

ジョージが怒った。

マダム・フーチがやってきた。

「試合再開できるの?」

ウッドに聞いた。
ウッドはハリーの決然とした表情を見た。

「よーし」

ウッドが言った。

「フレッド、ジョージ。
ハリーの言ったことを聞いただろう―ハリーをほっとけ。
あのブラッジャーは彼一人に任せろ」

「っハリー…!」

サクヤが心配そうに手を握ってきたので、
ハリーはいたずらっぽく笑ってみせた。

「大丈夫さ。
残念だけど、今日はサクヤの出番はないよ」





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