The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




サクヤが二階に着いたとき、声は途切れてしまった。
階段辺りでキョロキョロしていると、上の階が騒がしかった。

行ってみると、人だかりができていた。

「ちょっ…通して…、」

人垣の間をくぐっていると、
遠くで見慣れた3人を見つけた。

「継承者の敵よ、気をつけよ!
次はお前たちの番だぞ、『穢れた血』め!」

「ハリー!ロン!ハル!」

故意なのか否か、マルフォイの
その言葉と丸々かぶってサクヤが叫んだ。

早く3人と合流したいのに
なかなか退かない最後の人垣を押し退ける為に、
思わず肘鉄を喰らわせてしまった。

「ぐふっ…」

それは間違うことなく、ドラコだった。

「あ、ごめん」

「(サクヤ…、それは
素なの!?わざとなの!?)」

3人は同時にそう思った。

ようやく3人と合流したサクヤは、
人垣が見つめている視線の先を見てみた。

窓と窓の間の壁に、高さ30センチほどの文字が塗りつけられ、
松明に照らされてチラチラと鈍い光を放っていた。


秘密の部屋は開かれたり
継承者の敵よ、気をつけよ


「これは…?」

下にぶら下がっている何かに気づき、
サクヤはそれを凝視した。

「サクヤ…」

ハーマイオニーがサクヤの袖をキュッと掴み
それを止めた。

「……ミセス・ノリスよ…」

そう言ったハーマイオニーの顔は歪んでいた。

「っ!?」

振り返ってその“何か”を見ると、
やはり、それはフィルチの愛猫だった。

「助けなきゃ!」

ハーマイオニーの制止を振り切って
サクヤが駆け出そうとした瞬間、
盛大な水音がした。

床に大きな水たまりができていて、
サクヤがそれに気づかず滑って転んだのだ。

「ってて…。

…水?」

ベッショリ濡れて重くなった袖を持ち上げて言った。

「大丈夫?」

ハーマイオニーが手を差し伸べたので、
サクヤは手を取って立ち上がった。

ハーマイオニーは杖を振って
サクヤの服から水分を飛ばした。

「サンキュー、ハル」

サクヤが礼を言った時、
人混みを肩で押し分けて誰かがやってきた。

「なんだ、なんだ?
何だ今の光は?」

管理人のフィルチは
そう言い終わるや否や、ミセス・ノリスを見ると
恐怖のあまり手で顔を覆い、たじたじとあとずさりした。



「最悪だ…」



ロンが、間違いなくフィルチは
自分たちを犯人扱いするだろうと悟り、
小さく呟いたのをサクヤは聞き逃さなかった。





>>To be continued

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