The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




夜も更け、談笑となっていた大広間も
次第に人が少なくなっていった。

するとその時、グリフィンドール寮監・マクゴナガル先生が
厳格な顔つきでサクヤとツインズのところへやってきた。

「先ほどは見事な出し物でした。

しかしながら、最後のあれは
あまりにも危険すぎます。
よってミス・フェリックス、
ミスター・ウィーズリーの3人には
罰則を与えます」

「えー!」

ジョージが非難の声を上げた。

しかし珍しく、フレッドは声を上げずに
罰則に従うような雰囲気だった。
サクヤを危険な目に遭わせてしまったことが
相当こたえているようだ。

「……フレッド…」

サクヤはそんなフレッドを見て、
少し考えを巡らせた。

「…―先生!」

そしてマクゴナガル先生に呼び掛けた。

「あれは演出です!
あれも予定の内で、ちゃんと爆発も計算してあって
落下地点とかも予測してありました!
だからちっとも危険ではなかったのです!

…ね!ジョージ!」

「お、おう!
そうだよ、演出ですよ先生!
見事に引っかかってくれてありがたいです!

な?相棒」

ジョージがフレッドの肩を組んで言った。

「ナイス演技だったぜ!」

サクヤも肩を組んだ。

「ジョージ…サクヤ…!

…ははっ…、
先生?僕の演技、すごかったでしょう?」

フレッドにいつものいたずら顔が戻ってきた。

「………、」

マクゴナガル先生は、何か言いたそうに口を開けていたが、
すぐに柔らかい、観念したような顔になり、

「それならば、罰則を科す必要はありませんね。
あなた方に嵌められてしまいました。

ミス・フェリックス、
ミスター・ウィーズリー、
良い夢を」

と言って上座に戻って行った。

フレッドがサクヤとジョージを見ると、
2人はニコッと笑った。
それにつられて、フレッドもヘラリと笑った。




*****


「そろそろ寮に戻るか」

かなりまばらになってきた大広間を見、サクヤは呟いた。

「あ、そうだ、ちょこっと食べ物持ってくか…」

ハリー達が参加した絶命日パーティーとは
死者の晩餐会。
生者のハリー達に食べられるような食事が出るとは
到底思えなかった。
きっとお腹を空かせて戻ってくるだろう。

食べ物を簡単に包み、
ツインズに簡単に別れを言ってから大広間を出た。

寮へ戻ろうと一歩踏み出した時、
あの残忍で冷たい声が遠くで聞こえた。

「…引き裂いてやる…
八つ裂きにしてやる…殺してやる…」


「こ、この声…!」

サクヤは慌てて辺りを見回した。
理由は二つ。
一つは他者にもこの声が聞こえるのか確かめる為。
そしてもう一つは声の出どころを探る為。

「誰にも…聞こえないみたい…」

寮に戻っていく生徒や、
まだ大広間で喋っている先生や生徒の中には
誰もあの声を聞いたものはいないようだった。

「(確かに小さい声だったけど…
あの殺気立った声は聞き逃せないはず…。
オレにしか聞こえないのか…?)」

そう思ったが、最初に聞こえた時は
ハリーにも聞こえていたことを思い出した。

「ハリーに聞いてみよう」

「…腹がへったぞー…
…こんなに長ーい間…」


「こっちか」

サクヤは声がした方に、
目を凝らし警戒しながら進んでいった。

「(腹ぺこか…。
いざとなったら、これあげるかな)」

サクヤは大広間から持ち出した
食べ物の包みを抱え直した。

「…殺してやる…
殺すときが来た…」


「(移動してるな…石壁をすり抜けられるのか…?

声からして、本能で動く獣だなこれは。
人語を喋る腹ぺこな獣…、
…でも、ただの腹ぺこじゃあないらしい…。
…肉食、とか…?)」

まだハロウィンの楽しい雰囲気が
抜け切っていないサクヤは、
そんなことを思いながら声を追っていた。

「…血の臭いがする…
…血の臭いがするぞ!」


「…上か」

どんどん殺気立っていくその声に、
サクヤは歩を速くした。





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