The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




サクヤはその日の動物もどきの練習を終えて、
クタクタになりながら談話室に戻った。

必要の部屋には時計が無かったせいか、
練習初日だったこともあり、
つい時間を忘れて夢中になりすぎてしまったようだ。
もう夕食の時間だ。

「ちょい…飛ばし過ぎた…」

疲れきってフラフラと大広間への廊下を歩いていると、
後ろから誰かに喋りかけられた。

「やあ!サクヤ!」

「おう、フレッド!
…あれ?ジョージと一緒じゃないのか?」

声の主はフレッドだった。

「うん。いつでも俺らが二人セットとは限らないぜ。

あのさ、ハロウィンの日、
俺たちウィーズリー・ツインズで盛大にいたずらをするんだけど、
よかったらサクヤもやらない?」

日ごろは、小さないたずらこそ一緒にやったことはあるものの、
大きないたずらはまだやったことはなかったサクヤは、
その誘いに即答した。

「やるっ!やりたい!やらして!」

「いい答えだ!
詳しい事は当日朝に打ち合わせするからさ、
ハロウィンの日の朝に俺らの部屋に来てよ!
んじゃ!」

フレッドはそう言って、大広間に入って行った。

「楽しみだ〜!」

サクヤの疲れは吹き飛び、
来たるべきハロウィンがとても楽しみになった。


「サクヤっ!
いったいどこに行ってたの!?」

大広間のいつもの席につくと、隣のハーマイオニーが咳きこんで聞いてきた。

「え、あー、うん、ちょっと図書館に行ってた…」

「そんなことよりさ、ハロウィンの日、サクヤ空いてるだろ?
僕、『ほとんど首なしニック』の絶命日パーティーに招待されたんだ!
サクヤも来なよ!」

向かいのハリーが嬉しそうに言った。

「え、ハロウィンの日?
その日は…もう先約があるんだけど…」

つい先ほどのことだが。

「そうなの!?
それは…残念だ…」

乗り出していた身体は
すごすごと席に戻った。


*****


その晩、激しい雨が窓を打ちつける中、
グリフィンドールの談話室はいつも以上に盛り上がっていた。

フレッドが“魔法生物の世話”のクラスから、
火の中に住む、燃えるようなオレンジ色の火トカゲを
“助け出して”きたのだという。

「こいつ連れ出して…何する気だ?」

皆の好奇心満々な目に囲まれ、静かにくすぶっている火トカゲを見、
サクヤはフレッドに尋ねた。

「よくぞ聞いてくれた!」
「みんなにはまだ秘密なんだけど」

フレッドとジョージが、ソファに座る
サクヤの両サイドに腰掛け、輝く瞳で言った。

「関係者だし教えてあげる!」
「…こいつを食べさせるとどうなるかの実験だ」

そう言ってポケットから取り出したのは“フィリバスターの長々花火”だった。

「ばっかやろ…!
そんなもん火のついた奴に与えなんかしたら…!」

「これで得た情報をもとに、
ハロウィン当日のいたずらを考えていくのさ」
「大丈夫、危険はないように細工してあるから」

得意げに長々花火を見、
やがてそれを火トカゲに食べさせた。

「!!」

その途端、火トカゲが急にヒュッと空中に飛び上がり、
派手に花火を散らし、バンバン大きな音を立てながら、
部屋中を猛烈な勢いでぐるぐる回り始めた。

それでも誰にもぶつからないのは、
兄弟が“細工”したからであろう。

しかしその大きな音と派手な花火は
監督生からすればいい迷惑であろう。
パーシーが声をからして双子を怒鳴りつけはじめたのだ。

「…おーっ!」

サクヤはそんな中でも歓声を上げた。

花火がフィナーレを迎え、
火トカゲの口から滝のように橙色の星が流れだし、
誰もが感動するような素晴らしい眺めになったのだ。
その間だけは、パーシーも怒鳴ることを忘れ見入っていた。
(その後の最後の爆発音で
パーシーの怒りも再び爆発したが…)





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