The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




十月がやってきた。
校庭や城の中に湿った冷たい空気を撒き散らしながら。

さ む い … !!

サクヤはもうずっとハーマイオニーにピッタリだった。
(サクヤは大の寒がりなのだ)

先生にも生徒にも急に風邪が大流行し、
ジニーはその波に乗ってしまっていた。

「ジニー大丈夫か?」

医務室前の風邪の行列に並んでいたジニーを見つけ、
サクヤが声をかけたのだった。

「ええ…割と、大丈夫じゃない…」

熱っぽい顔の赤らみから見ても、まったく大丈夫そうではなかった。

「マダム・ポンフリーの手に掛かれば、あっという間さ。
ほら、あと少し頑張れ!」

パーシーが付き添いでここまで来ていた。
ジニーの番が来るまで、サクヤも付き添い、
ジニーの肩をさすってやっていた。

ジニーの赤面が別の意味でいっそうひどくなったのは、言うまでもない。

やがて番が回ってきて、校医特製の「元気爆発薬」が彼女に投与された。
この薬は、すぐに効くが、それを飲むと
数時間は耳から煙を出し続けることになるのだった。

「だから、この薬飲むの嫌だったのに…」

ジニーの顔は真っ赤になり、
燃えるような赤毛の下から煙がモクモクと上がって、
まるでジニーの首から上が火事になったようだった。

「わっ、サクヤ!?」

驚いた声を出すのは、セドリックだった。
耳からは煙が出ている。

「おう!セドリック!
お前も風邪引いたのか?」

「うん…。
こんな姿、君に見られたくなかったけど…」

肩を落として微笑みながらセドリックは言った。

「あっはっは、確かに、あまり人には見せたくないよな!」

「サクヤも風邪には気をつけなよ!」

「おう、さんきゅー!」

やがてセドリックは煙を撒き散らしながら歩いて行った。


天気もこの頃ずっと悪かった。
銃弾のような大きな雨粒が、何日も続けて城の窓を打ち、
湖は水かさを増し、花壇は泥の河のように流れ、
ハグリッドのハロウィン用の巨大カボチャは、
ちょっとした物置小屋ぐらいに大きく膨れ上がった。

しかし、オリバー・ウッドの定期訓練熱は濡れも湿りもしなかった。
ハロウィンの数日前の大雨の日も、練習は中止せずに続行された。
練習ではツインズがスリザリンの練習の偵察から戻ってきた報告により、
大雨の天気よりもどんよりとした気持ちになった。
なぜならその報告は、ニンバス2001の高性能ぶりを絶対的に示されたというものだったからだ。
まるで垂直離着陸ジェット機のように、空中を縦横に突っ切る七つの緑の影としか見えなかったという。

「悪ィ、先に着替えて戻るな!
ちょっと用事があって…」

サクヤは練習が終わった後、
サッと雨や泥を洗い流して着替えて行ってしまった。

「…?」

ハリーは残され、ずぶ濡れで一人取り残される羽目になってしまった。





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