The founder of orphan U
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
「…あれ?」
地下牢に向かっていたサクヤの前に、1年生と思われる生徒が一人でキョロキョロと辺りを見回していた。
「どうしたの?」
サクヤが声をかけると、その生徒は振り返った。
「えっと…レイブンクローの寮はどこかと思って…」
「迷子か…、はぐれちゃったんだね。
君、名前は?」
「ルーナ・ラブグッド」
腰まであるダーク・ブロンドの髪に、銀色の大きな瞳を持つ彼女は言った。
「ルーナか、じゃあ一緒に探そう!
オレはサクヤ・フェリックスってんだ。よろしくな」
右手を差し出し、それに応じたルーナと握手を交わした。
サクヤはそのままルーナの右手を左手で持ちかえ、手をつないで歩きだした。
「ルーナはレイブンクローなんだ?」
「ウン、さっき組み分けで言われたンだ」
「レイブンクローは…寮どこだったっけ…?」
立ち止まって考えだしたサクヤ。
そこでちょうど、西塔に向かうレイブンクロー寮生を見つけた。
「あ、ちょっと待って!」
慌ててその人の所へ走った。
今度は黒髪が綺麗な東洋美人な女の子だった。
「君、レイブンクロー生だよね?
この子もそうなんだけど、迷ったらしいんだ。
もしこれから寮に戻るんなら、よかったらこの子も連れて行ってやってくれないか?」
「ええ、いいわよ。
行きましょ?」
ルーナはその黒髪の生徒に連れられて行った。
「ふう、一件落着かな。
だいぶ時間食っちゃったけど、先生まだ荷物持っててくれてるかな…?」
サクヤは急ぎ足で地下牢に向かった。
*****
コンコン.
「スネイプ先生?
荷物取りに来ました、失礼しまーす」
そっと扉を開けると、いつもの教授席にいつものように腰かけているスネイプがいた。
「部屋主の許可なしに勝手に入るな」
「そうカタいこと言わないでくださいよ。
荷物、取りに来たんですけど…あれ?」
辺りを見回しても、それらしい物は見当たらなかった。
「ああ、あの大きなトランクか。
貴様があまりにも遅いので処分してしまったよ」
スネイプはクツクツと喉の奥で笑っていた。
「え、本当に捨てちゃったんですか!?」
「致し方なかろう。
貴様が遅いのがいけないのだ」
ガックリとうなだれたサクヤを見、スネイプの笑みがさらに深くなった。
「廃棄先は確か…
グリフィンドール女子寮、
だった気がするのだが…」
今度はパッと顔をあげ、輝く笑顔でスネイプを見た。
「ありがとうございます!!
ホントにショックだったんですから…。
それではスネイプ先生、今年もよろしくお願いしますね!
おやすみなさい!」
深くお辞儀をしたのち、サクヤは自分の寮へと戻って行った。
「今年こそは、何も起こしてくれなければいいのだが…」
スネイプは小さくつぶやいた。
*****
「サクヤ…?」
地下牢から出てくるサクヤを偶然見かけたのは、
パンジーに誤解を吹き込まれたマルフォイだった。
やがてその間違った疑心は、
確信へと変わってしまった。
>>To be continued
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