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翌日。
昨日の大雨のせいで今朝は蒸しっとしていた。

きっと今日の話題は
昨日ってか今日の深夜の紅い雷だろうな…。

そう思って、教室に入る。

「おはよー」

「あ、七華おはよ!」

いつもの友達がいつもの笑顔で挨拶してくる。

「………」

さあ、雷の話題を出せ…出すんだ…!
そう聞いてきたが最後、
私の悲劇を語りつくしてやんよ…!

…ボカロのことは隠して。
隠れはツラいよ…っ

「どしたのそんな怖い顔して?」

…あれ、出ない。
あの雷絶対異常だったのに…
赤だよ赤。ってか紅色。

出ないならこっちから。

「ね、昨日の雷ヤバかったことない?」

「…雷?」

「今日の午前2時くらい。
あ、寝てた?」

爆睡してたとしたら、気付かないか。

「ううん、起きてたよ。
今日の予習してた」

「じゃあ、停電に見舞われたんじゃない?
私パソコンつけてたから大変だったよ…!
落ちちゃってさ、今日帰ったらデータ確認しなきゃ…」

「待って、待て七華。
昨晩は雷落ちてないよ?」



「…は?」


「だから、雷なんか落ちてないって。
2時半くらいまで起きてたけど、
停電なんてなかったし、
…確かに雨はすごかったけどさ」

「ッいやいやいや。
現に私の家、家電類全部止まったよ?
朝起きたら早速冷蔵庫の整理だよ?
製氷機どんまいだったよ?
野菜も傷んでたし、肉類とか…っ」

朝から忙しかったさ。ああ忙しかったさ。

「でも、雷はどこも落ちてないって…」

友達は携帯の天気情報を見ながらそう言った。

「ただブレーカーが落ちたんじゃない?」

友達はもう雷の話題には興味が失せたようで、
そう言って私を丸く収めた。

いや、光すごかったって。
明らかに雷だった。
…たぶん。
でも、紅かったしなぁ…。
実は夢オチ?まさか。

ってかJKの一人暮らしで
どうやってブレーカーが
落ちるまで電気使うんだばか。


そんな自問自答で、半日が過ぎた。


帰りのHRが終わって、私はダッシュで学校を去った。
パソコンが心配だった。
私のめーちゃん、待ってろ!


電車から降り、駅から家までは歩き。

今の場合は走り。


帰路も、普段の通学路じゃなくって
相当急いでるときにしか使わない、
人通りの少ないってか全く人気がない、
いわば路地裏のような道を使うことにした。
そっちのが近道だから。



その道を通らなかったら、

出会えなかったであろう。


…あのネギ大好きっ子に。






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