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そろそろその30分ほどが経つころ。

「…マスター遅いね」

メイコが
ミクとルカに呟いた。

「うん…」


「っおまたせ!」

そう言って私が玄関を開けると、
3人がそこで待っててくれてた。

「遅いよマスター!」

「どこ行ってたの?」

ルカとメイコがそう問う。

「ちょっと足の確保をね!
実家から車をとってきたの!」

「車?
マスター、免許…持ってるの?」

「うん」

18歳ですからね!
取れる時期になった瞬間に車校に申し込んで
免許取っちゃったもんね!
まだまだ若葉マーク外せませんがね!

「マスターすごい!!」

「と、いうわけで、行こう!
そろそろ陽がてっぺんにきちゃう」

メイコとルカは素直に玄関を出た。
けど、ミクがなかなか敷居を跨げずにいた。

「………、」

私には、分かるよ?ミク。
“外”は、嫌な思い出しかないもんね。

「でゃーじょーぶ!!」

ギュッとミクの手を握り、にっこり笑いかけた。

「マスター…」

ミクも手を握り返してくれた。
そして、ゆっくりと、片足を外に出す…。

「そう…、ほら、そっちの足も」

そう促すと、ミクは不安げな顔をしながらも、
素直に“外”に出てくれた。

「なんにもかわらない。
中も外も、…ね?」

「…っうん!」

ちゃんと出られたことに安心したのか、
私が手を握ってたのが功を奏したのか、
ミクは満面の笑顔で応えてくれた。

「ありがとう!マスター!」

「いえいえ」

ミクは笑顔が何よりです。



車の中ではちょっとした修学旅行のあの雰囲気が。
ボカロ達は車の窓に張り付いて
わーきゃー言ってる…かわいいなぁもうっ!
誰か運転代わってくれみんなをじっくり見隊!!

「あれが信号!横断歩道!
あれが高速道路!」

すっかり外の世界に落ち着いたミクが、
知識としての言葉を記憶に替えていく。

「……、」

そんなかわいいボカロ達は外を見ている、はずだが。
視 線 を 感 じ る 。

じーーーーー、と私を見つめるのは
ルカさんしかいませんよね、ええ分かっておりますの。


うっし、信号赤だっ

「もうっルカっ
そんなに見られると恥ずかしいじゃないっ」

そう言って助手席に振り返ると、目の前に美顔。

「〜っ!」

「真面目な顔のマスターが可愛くて」

ええ確かに運転に余裕はないですよええ。
まだまだぺーぺーの初心者ですからね!!

っていうかにっこり笑うな綺麗すぎて生きるのが辛くなるだろう!!

「そ、そんなこと言ってると
ルカの布団買ってあげないからな!」

「いいの?」

「へ?」

「マスターと同じ布団で寝てもいいだなんて…、
意外と大胆ね、マスターったら!」

「ちょっ…」

「ほらマスター!信号青!」

だ か ら な ん で
ル カ の ペ ー ス 。

めーちゃんもミクも助け舟だしてくれよっ


そんなこんなでニト●に到着した。

「でっかー…い」

車から降りたミクがニトrの建物を見上げて
口を半開きにした。
ああもう口に指突っ込みたくなる可愛さだな!!

「そりゃ、大型家具も売っちゃってるとこですから」

お、値段以上♪…な●トリ様です。

店内に入ってみんなで布団を品定めしていると。

「…なんか視線を感じるわね」

めーちゃんが布団を見つめたまま顔を険しくした。

「…き、気にしたらキリがないさ」

こんな美人たちがそろってんですもの。
「ちょっとそこの平凡面、場所代われ」くらい思われてんだろーなぁ…w

「こっち見てる人たち
はっ倒してきていいかしら」

「なにルカ物騒なこと言っちゃってんの!?」

黒ルカ発動ォ!!

「マスターは渡さない」

「ルカさんそれ勘ちg」

「やらしい目でマスターを見ないでほしいわ」

「めーちゃんまで!?」

こんの巨乳姉妹め…みんなお目当ては
あなた方の乳でs(ry

「マスターはミクたちが守るんだ!」

ロリもしくは年下もしくはツインテ属性のある大きなお友達はミクをガン見…許すまじ!!
っていうかミクまで勘違いかよ!
ボカロみんな鈍感なの!?

「なんで私の周りを死守してるの…」

SPのごとく。
むしろ私が分身してみんなを守らなきゃなのになぁ…w

「マスター、あたし達の布団持って」

いつのまにか決めた敷布団と掛け布団を乗せたカートを
めーちゃんから押しつけられた。

「パ、パシリェ…」

「(これでマスターの顔を簡単に見ることはできなくなったわ…)」

そんな心内は露知らず。

「あとは服とか食器とかかなー」

どっちかってーとパシられ体質な私はすぐさまこの状況に馴染み、
次に買う物を言ってみる。

「食器ならあっちにあるって!」

案内を見てミクが向こうを指さす。

「おっけ、んじゃ移動ー…、
…っ!?」

進行方向を見ると。

ク ラ ス の 男 子 が
 こ っ ち く る !


「どうしたの?」

めーちゃんが気付いて気にかけてくれた。

「い、いやあなんでも…」

すかさず布団山積みのカートの影に隠れて
パーカーのフードをかぶって身を小さくする。


そして、すれ違う…!



「…………」

お、おっけー…!
ミッションコンプリィィイィイッ!!

フードをとりつつチラッと振り返る。

「!?」

目 が 合 っ た 。

なぜ振り返ったし男子と私。

まぁアレだよね。
こんなにカートに山積み布団乗せて目立つなって方がアレですもんね。
別にあの男子と特にしゃべったことないし。

気付いてない。気付かれてないよ。
ただ布団山積みにビックリして振り返ってただけだようん。
私だとは気付いてないって。うん。


っていうかなんで隠れたんだろう私。

「マスター?」

思いっきりキョドってた私を不審に思ってルカさんが覗きこんできた。

「ん?いやなんでもないよ!」

相変わらず顔を近づけることに定評のあるルカさんに思わず飛び退く私。

「なんで逃げるの?」

がしっと両手首を掴まれる。

「ひぃい…」

せめてこういうことは周りの目がないとこでやろうず…!

「ほら行くわよ二人とも」

めーちゃんがついに助け舟を出してくれた!!

「いいいい行くぞ!」

ルカをなんとか振り切りカートを押して食器売り場へ向かう。






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