[> 4



翌日、学校!

今日もまた、幸せそうな笑顔に見送られて
家を出た私は無敵なのだ!

「おっはよー!」

元気よくスパッと教室の扉を開ける。

「おはよ七華!
ね、昨日から妙に機嫌いいよね、なんで?」

…こ、答えらんねぇ…!
でも…。

にへらっと笑わずにはいられまい。

「何、その緩んだ笑顔」

「うへへ」

「(彼氏だ…!
絶対 彼氏ができたんだ…!)」

友達がそんな勘ぐりをしてるとは知る由もない私は、

帰ったら何歌わせようか、とか
どんな曲作ろうか、とか考えていたり。


もうそっから授業中は
作詞タイムなわけなのです。
どんどんインスピレーションが湧いてくるぜぇぇえ

今これ波に乗ってる。
波どころじゃない、ビッグウェーヴに!
メロディーもどんどん浮かんでくる!!

わたしはその度に人気のないとこに駆けこんで
携帯にメロディーを鼻歌で録音した。

…うーん、そろそろ
成績辺りに影響が出てくるかも…。



業後はダッシュで帰宅。
家に帰るのがこんなに楽しみって…いいなぁ!
何年振りだろ!
たぶん1年ぶりくらいだけど、
とんでもなく懐かしい感じになる!!

「たっだいまー!」

「おかえり、マスター!」

「おかえり!家事、やっといたよ!」

「!」

なんと!?

「マスター聞いて!
あたしはね、お風呂掃除と洗濯物干ししたんだよ!
メイコ姉は皿洗いと、掃除!」

「ッ完璧じゃん!
えらいぞ!ミク!めーちゃん!」

「えへへ、もっと褒めてー!」

なんかもう、こんな幸せでいいのかしら私。

「なんかね、学校にいる時から
どんどん曲が湧いてくるんだ。
今からパソコンで本格的なの作るから、
完成したら歌ってくれる?」

「「はいマスター!」」

この返事、爽やか過ぎる…っ反則だ!



*****



一晩で3曲もできるって…私すごい!
何年振りだろ!
たぶん1年ぶりくらいだけど、
とんでもなく懐かしい感じn…いや、3曲は初めてだ新記録だ。

ミクには、
“始まり系(?)”の前向きな歌、
メイコには、
“歓迎系(?)”の明るい歌、
ができた。
まさに今の、この雰囲気の感じを曲にしてみた。


そんで、3曲目はなんと、ネタ曲。

ミクとMEIKOと、なんとこの私、唄風によるコラボ曲。
…私が入ると叩かれるかもしれないけど、
まあ、それでもめげないからね、私!

このネタ曲の歌詞は、
ミクとメイコが現実に出てきちゃった!
…という、はたから聴けばネタ曲。
ハモり重視の、
私らにとってはガチ曲。

曲は楽しんだもん勝ちだし、いいよね!


と、歌の収録中に浮かんだ疑問をふと口に出してみる。

「…ところで、当然のように
私はVOCALOIDと暮らしてるけど、
他の家のVOCALOIDたちは現実に出てきてんのかな」

もしそうだったら大騒ぎだけど。
(みんながみんな、
VOCALOIDが現実に出てきたことを
隠そうとは思わないわけだし)

「たぶん、ほんの一部の家のVOCALOIDが
出てきてるんじゃないかな」

めーちゃんが言う。

「全部が全部、VOCALOIDが出てきてたら
今頃世の中は大変なことになってるだろうし、
マスターのこの浦風家だけだ
ってワケでもないみたいだし」

メイコがミクを見て言った。

「そ、か…」

ミクは、他の家で
この世界に出てきたんだった…。

「ごめんミク、やなこと思い出させちゃったね」

シュンとなったミクの頭を優しく撫ぜた。

「なら、他のVOCALOIDがいても
不思議じゃないんだね」

ナデナデしてると、
ミクが猫みたく擦り寄ってきた。
とっても可愛いんですけど!!

「よーしよしよし、ゴロゴロ…」




_

( 11/33 )
[まえ] [つぎ]
[もどる]
[しおりをはさむ]




- ナノ -