The ounder of rphan T 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




“みぞの鏡”を二度と探さないようにとダンブルドアに説得されて以来、
透明マントはハリーのトランクに仕舞いこまれたままだった。
鏡のことを忘れたいと思ったが、そう上手くはいかなかった。

ハリーは毎晩悪夢にうなされた。
高笑いとともに、緑の閃光。両親が殺される夢だった。

「ハリー…大丈夫だから…大丈夫だから…」

夜中に悪夢に起こされると、決まってサクヤはわざわざ起きて、ハリーの頭を撫でてくれた。
その手が心地よくて、その晩はもう悪夢にうなされることもなかった。

ハリーがロンに悪夢のことを話すと、ロンが言った。

「ダンブルドアの言う通りだよ。鏡を見て気が変になった人がいるって。
サクヤに感謝しなきゃ」

新学期が始まる1日前にハーマイオニーが帰ってきた。
ハーマイオニーはクリスマス休暇の出来事を聞いて、複雑な心境だった。
一方ではハリーが3日も続けて深夜に学校をウロウロしたこと
(もしフィルチに見つかっていたら!)、
もう一方は、どうせそうなら、せめてフラメルについて何か見つければよかったのに、と悔しがった。

しかし、サクヤとハリーとロンの首元に自分と同じデザインのネックレスがつけられているのを見て、その心境も吹っ飛んだ。
(サクヤのネックレスに付いているマルフォイに貰った指輪は気に入らなかったが)

クリスマス休暇が終わって、誰よりも残念がっていたのは、ハリーとロンだった。
ハーマイオニーが戻ってきて、自動的にサクヤも女子寮に戻ってしまったからである。

新学期が始まると、再び10分間の休み時間中に必死で本を漁った。
その間サクヤは、黒表紙の本を隠れて読んでいた。
ハリーとサクヤはクィディッチの練習も始ったので、ロン達より時間がなかった。

ウッドのしごきは前よりも厳しくなり、双子が文句を言ったが、ハリーはウッドに賛成だった。
次の試合のハッフルパフ戦に勝利すれば、七年ぶりに寮対抗杯をスリザリンから取り戻せるのだ。
サクヤとハリー二人のシーカーは特殊な練習法で、その方法とは、簡単に言えば"鬼ごっこ"だった。
一方が鬼、一方が逃げる側で、鬼がシーカー、逃げる側がスニッチと見立てての練習だ。

休みなしの鬼ごっこに、2人ともくたくたになった。
しかしハリーは、疲れた後はあまり悪夢を見なくなることに気づいた。

あるどしゃ降りの雨の日、ジョージが叫んだ。

「スネイプが審判をやるって!?」

おそらく驚いて箒から落ちたのだろう。
せき込んでいる。

「そんな…!」

ハリーもショックを受けていた。
サクヤと話し合って、最後のハッフルパフ戦はハリーが出る番だったからだ。

「グリフィンドールが勝つかもしれないってなったら、きっとフェアでなくなるぜ」

チーム全員がジョージのそばに着地して文句を言い始めた。

「僕のせいじゃない。
僕たちは、つけ込む口実を与えないよう、絶対にフェアプレイをしなければ」

それはそうだとハリーは思った。
しかしハリーには試合中にスネイプがそばにいると困る理由がもう一つあった…。

練習のあと、ハリーとサクヤは急いで談話室に戻った。
ロンとハーマイオニーはチェスの試合中だった。
ハーマイオニーが押されている。

「ハル、そこのそれをこっちにやってみ?」

サクヤはハーマイオニーの隣に座るなり言った。

「あ、その手があったわね」

ロンは慌てた。
サクヤが助言すると、負けそうになるからだ。

「サクヤ!口出し禁止だよ!
…ハリーなにかあった?なんて顔してるんだい」

ハリーは他の人に聞かれないように小声で次の試合の審判のことを言った。
ロンとハーマイオニーはすぐに反応した。

「試合に出ちゃだめよ」
「病気だって言えよ」
「足を折ったことにすれば…」
「いっそ本当に折ってしまえ」

「いやいやいや!ロン!その発言は腹黒いぞ!」

すかさずサクヤがつっこむ。

「ゴメン、いきおいで…」

「しょーがない、次もオレが試合出るよ」

サクヤは膝をパンッ!と叩き、立ち上がった。

「そうよ、スネイプは何故かサクヤには甘いじゃない!
目も治ったことだし、それを利用すれば…!」

ハーマイオニーもつられて立ち上がった。

「…サクヤ、頼めるかい…?」

ハリーは申し訳なさそうに背を丸めている。

「おう!任しとけ!」

サクヤは強気に言った。





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