The ounder of rphan T 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「――…ん?」

散らかした包装紙を纏めていると、まだ開けていない小さな箱が出てきた。

『完成品だ。飲みなさい』

小箱にそう書かれている中身には、小瓶に詰められた液体が入っていた。

「…あ」

サクヤは誰からの贈り物か分かり、笑みを浮かべた。

「今度お礼言わなきゃな」

小瓶を呷り、液体を飲み干す――やはり不味かった――

この頃風呂以外巻きっぱなしだった包帯を取り、辺りを見回す。
気付いたハリー達はサクヤの目の色の変化に驚いていた。

「サクヤ…その薬って…!」

「ああ!スネイプ先生が完成させたみたいだ!
――左目を完全に治す薬を!」

サクヤは満面の笑みを浮かべた。
副作用も無く、視界も久々に広かった。

「? ハリー?まだ開けてないプレゼントがあるよ?」

サクヤが指差した先には、ベッドの影に隠れた包みがある。
ハリーがそれを開けると、銀ねず色の液体のようなものがスルスルと床に滑り落ちて、キラキラと折り重なった。

「僕、これがなんなのか聞いたことがある」

ロンが息をのんで声をひそめた。

「もし僕の考えているものだったら――とても珍しくて、とっても貴重なものなんだ」

「何?それって…」

サクヤが先を急かす。

「これは透明マントだ」

ロンは貴いものを畏れ敬うような表情で言った。

「きっとそうだ――ちょっと着てみて」

ハリーはマントを肩からかけた。

「すごい!ハリー!下見てみて!」

ハリーは下を見た後、鏡の前で頭までマントを引き上げていた。…姿が全く見えない。

「手紙があるよ!マントから手紙が落ちたよ!」

ロンが叫んだのでハリーはマントを脱いで手紙を読み始めた。





君のお父さんが亡くなる前にこれを私に預けた。
君に返す時が来たようだ。
上手に使いなさい。

メリークリスマス





手紙に名前が書いてない。
風変わりな細長い文字に、ハリーは見覚えがなかった。

突然、寝室のドアがバン!と開いたので、ハリーは慌ててマントを隠した。
まだ他の人には知られたくなかった。
入ってきたのはフレッドとジョージだ。

「メリークリスマス!」
「おい、見ろよ――サクヤもハリーもウィーズリー家のセーターを持ってるぜ!」

フレッドもジョージも青いセーターを着ていた。
片方には黄色の文字でフレッドのF、もう一つにはジョージのGがついていた。


「――あれ?
フレッド、ジョージ…着てるセーター逆じゃね?」

サクヤが指摘すると、その場全員が固まった。

「サクヤ!どっちがどっちか分かるの!?」

「ああ、右がフレッド、左がジョージだろ?…違う?」

「…大正解っ!」
「いつから分かるようになったんだ!?」

「はっきり判断できるようになったのは、クィディッチの練習をするようになってから…かな。
仕草とか微妙な声色の違いとかで、なんとなく直感的に分かるようになった。
性格も違うもんな」

サクヤは笑って答えた。

「そっか!さすがはサクヤ!見分けつく人なんて滅多にいないよ!
ママもなんとなく分かってるよ――グレッドとフォージさ」

…なんてふざけていると、

「この騒ぎはなんだい?」

とパーシー・ウィーズリーがたしなめるような顔でドアから覗いた。
手にはウィーズリー家のセーターを抱えている。

「監督生のP!パーシー、着ろよ。
僕たちも着てるし、ハリーのもサクヤのもあるんだ」

双子が嫌がっているパーシーに無理やりセーターを着せるのを、サクヤ達は笑って見ていた。

こんなにすばらしいクリスマスのご馳走はハリーにとって初めてだった。
丸々太った七面鳥のロースト百羽、山盛りのローストポテトとゆでポテト、
大皿に盛った太いチポラータ・ソーセージ、深皿いっぱいのバター煮の豆、
銀の器に入ったコッテリとした肉汁とクランベリーソース。

「ハリーっ!」

ハリーが何から食べようかと悩んでいると、いきなり後ろから抱きつかれた。
サクヤだ。

「っ!
サクヤっ!?」

サクヤの右手に握られたグラスを見ると、ワインが注がれていた。

「ワイン!?」

ハリーがびっくりしていると、サクヤがハリーの頬にキスをした。
見ていた皆がびっくりと悲鳴を上げた。
ハリーは茹で上がってしまった。

「ミス・フェリックス!僕らにもキスのお恵みを!!」

ウィーズリー・ツインズが頬を差し出す。

「しょーがないなー!」

差し出された頬にキスをするサクヤ。

「…決定だ…!
サクヤは酔うとキス魔になる…!」

ロンが小さく呟き、お恵みを授かりに走った。






>>To be continued

( 68/98 )
[prev] [next]
[back]
[しおりを挟む]



- ナノ -