The founder of orphan T
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
「フェリックス!」
スネイプだ。
「ロンの家族を侮辱したんです」
サクヤはドラコから両手を離し、そっぽを向いて言った。
「だとしても、人に手を上げるのは校則違反だろう。
以後、気を付けたまえ」
スネイプはそう言って去っていき、
ドラコは「木の影で見えなかった…」などと呟きつつ、両頬を押さえて歩いていった。
「サクヤ、ごめんね」
ロンは背を丸めて謝った。
「いや、いいんだ。
手を上げるのはオレだけで十分!」
サクヤは笑って、申し訳なさそうなロンを小突いた。
「さあさあ、元気出せ。もうすぐクリスマスだ」
ハグリッドも励ました。
「一緒においで。
大広間がすごいから」
ハグリッドの言う通り、大広間はすばらしい眺めだった。
柊や宿木が綱のように編まれて壁に飾られ、クリスマスツリーが12本もそびえ立っていた。
「あ、そういえば――サクヤ、ハリー、ロン、
昼食まで30分あるから、図書館に行かなくちゃ」
ハーマイオニーが思い出したように言い、4人は大広間を出た。
「図書館?お休み前なのに?
お前さんたち、ちぃっと勉強しすぎじゃないか?」
4人に続いて出てきたハグリッドが驚いた。
「勉強じゃないんだよ。
ハグリッドがニコラス・フラメルって言ってからずっと、どんな人物か調べているんだよ」
ハリーが明るく答えた。
「なんだって?
――まあ、聞け…俺が言っただろうが…ほっとけ。
あの犬が何を守っているかなんて、お前さんたちには関係ねぇ」
「ハグリッド、何かヒントくれないかなぁ。
僕、どっかでこの名前見た覚えがあるんだ」
「俺はなんも言わんぞ」
ハグリッドはきっぱり言った。
「それなら、自分たちで見つけなくちゃ」
ロンがそう言うと、4人は図書館へ向かった。
*****
「そろそろ、か」
図書館で小さく呟くのはサクヤだ。
呟いた後、サクヤは気づかれないように魔法使いの棚を離れ、魔法薬の棚を探し始めた。
賢者の石についての知識を得るためだ。
しかし、蔵書が半端じゃない。
生徒向けの、ベゾアール石などが載っている本ばかりで、賢者の石についての本が見つからない。
そうしている間に30分経ち、サクヤは図書館を出た。
他の3人も、フラメルについての本は見つからなかったらしく、サクヤは内心でホッと息をついた。
その日の夜。
「明日でハルとはしばらく会えないのか…」
サクヤとハーマイオニーの部屋で、サクヤは呟く。
「寂しいわ…手紙、書くわね」
「うん、待ってる」
そこから、2人に沈黙が流れる。
サクヤのベッドに2人が向かい合って座っている。
沈黙を先に破ったのは、サクヤだった。
「今日…一緒に寝よう?」
たちの悪そうな顔で言うサクヤを見、ハーマイオニーは微笑んだ。
「ええ」
そのまま二人は寝転がり、
身を寄せあって眠った。
( 66/98 )
[prev] [next]
[back]
[しおりを挟む]