The ounder of rphan T 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「きゃっ!」

寝ているハーマイオニーの頬にサクヤの手を当てる。

当然冷たいサクヤの手に驚くハーマイオニーは、このような声を上げざるを得なかった。

「おはよハル。
二度寝したんだね」

サクヤは自分の制服を出しながら笑った。
ハーマイオニーのベッドの横にある机には、ちょこんと雪だるまが立っていた。

「サクヤ…これを作りにいってたの?」

「ああ。ハリーとドラコにもあげたんだ。
内緒の話だけど、ハルのが微妙に大きいんだぜ」

サクヤはいたずらっぽいウインクをハーマイオニーにした。

ハーマイオニーは咳払いをし、身支度をし始めた。
その頬はサクヤの手よりも赤い事は言うまでもないだろう。


*****


皆が大広間で朝食を摂っていると、ふくろう便がやってきた。
いつもよりふくろうの数が少ないのは、外が吹雪だからだ。

その数少ないふくろうの中に、サクヤの茶色いふくろうがいた。
サクヤがすぐに気付けたのは、ふくろうが一際大きく、鷹を連想させる金色の目をしているからだろう。

「オークル!」

そのふくろうの名を呼ぶと、オークルはサクヤの肩にとまった。

「手紙か…」

オークルから受け取った手紙は、義祖父母からだった。




サクヤ。

元気にやっているかい。

もうすぐクリスマス休暇だね。
休暇中は帰ってくるのかな?
それによっては、クリスマスの夕食の七面鳥の予約が必要だからね。

なるべく早くの返事を待ってるよ。
おじいちゃん、おばあちゃんより




「どうするの?」

手紙を見たハーマイオニーは尋ねる。

「学校に残るよ。
ニコラス・フラメルを調べなきゃだろ?」

サクヤは表向きの理由を答える。
本当は、ハリーと賢者の石の関連性を調べるつもりなのだ。

サクヤは直ぐに羊皮紙に、学校に残る事を書き、オークルに持たせた。

「オークル、もう一頑張り、頼むな」

くちばしの付け根辺りを指で撫でると、オークルは心地良さそうに鳴き、飛んでいった。

「オークル…タフなふくろうだね…」

ロンが感心して声を出す。
吹雪越えのふくろうのほとんどは、元気が出るまでハグリッドの世話を受けるのが常だったからだ。

冬のホグワーツは寒い。
談話室や大広間には暖炉に轟々と火が燃えていたが、
廊下はすき間風で氷のように冷たく、身を切るような風が教室の窓をガタガタいわせた。

最悪なのは、スネイプ教授の地下牢教室だった。
吐く息が白い霧のように立ち上り、生徒達はできるだけ熱い釜に近づいて暖を取った。

「ざぶい〜…」

一際寒がるのは他でもないサクヤだ。
釜に近づくハーマイオニーの背中にぴったり張り付き、窓とガタガタいい勝負をしていた。

「かわいそうに」

魔法薬の授業の時、ドラコ・マルフォイが少し離れた所で言った。

「家に帰ってくるなと言われて、クリスマスなのにホグワーツに居残る子がいるんだね」

そう言いながらハリーの様子をうかがっている。
クラッブとゴイルがクスクス笑った。

「オレも残るんだ。
でもクリスマスだからって、家族と過ごさなければいけない訳じゃないだろ?
友達や恋人と過ごすクリスマスもなかなか素敵だと思うけど?」

ハリーは、サクヤがマルフォイに言ったその言葉で、心が暖まった気がした。

クィディッチの試合以来、マルフォイはますますいやな奴になっていた。
スリザリンが負けたことを根に持って、ハリーを笑い者にしようと、
「次の試合には大きな口の『木登り蛙』がシーカーになるぞ」
とはやし立てた。

ハリーはクリスマスにプリベット通りに帰るつもりはなかった。
ロンやウィーズリー兄弟も両親がチャーリーに会いに行くとかで、学校に残ることになっていた。
ハーマイオニーは、特に学校に残る理由が無いので家に帰るんだそうだ。

魔法薬の授業を終えて地下牢を出ると、行く手の廊下を大きな樅(モミ)の木が塞いでいた。ハグリッドだ。

「やぁハグリッド、手伝おうか」

ロンが枝の間から頭を突き出して尋ねた。

「いんや、大丈夫。ありがとうよ、ロン」

「すみませんが、そこ退いてもらえませんか」

気取った声。マルフォイだ。

「ウィーズリー、お小遣い稼ぎですかね?
君もホグワーツを出たら森の番人になりたいんだろう。

ハグリッドの小屋だって、君たちの家に比べたら宮殿みたいなんだろうねぇ」

ロンがマルフォイに飛びかかろうとした時、サクヤがそれを防いだ。

「っサクヤ…いたのか…!?」

ばちん!
乾いた音は同時に2つ響いた。
ドラコの両頬をサクヤが両手で勢いよく挟んだのだ。

「いい加減分かってよ、オレの友達貶すな」

サクヤは声を低くして言った。






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