The founder of orphan T
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
サクヤが必死に出口へ這っている間も、トロールは少しずつ、しかし確実に近付いてきた。
「…近い…!」
トロールとサクヤの距離は5mも無い。
踏まれるか、棍棒で叩き潰されるか、サクヤはとにかく身を固くした。
「がはぁぁア!!」
トロールは笑っているのか、唾液で濡れつくした頭を振り回した。
「や、やめろ!唾が飛んでる!」
気だるい体を動かし、唾液を避けようとするが、避けきれなかった。
なんと、棍棒で殴られた額の傷口に唾液が飛んでしまった。
「あぁぁああっ!!!」
サクヤはボーッしてきた頭をフル回転させ、
状況打開の策を考えていたが、思い浮かぶのは不利な事ばかり。
「(確か…本で読んだ…、
トロールの唾液は、治癒力を徹底的に低めるどころか、激しい痛みと共に傷口を腐蝕させる力があると…)」
今、サクヤはトロールから受けた傷口に唾液が飛んだ。
即ち、腐蝕が始まったという事。
「焼ける…!」
焼け付くような痛みと腐蝕が眼にまで及び、サクヤを苦しめる。
トロールは棍棒をまた振り回し始めた。
刻々とサクヤの生命力は削られていき、"満身創痍"という言葉を物々しく主張するまでになってしまった。
「サクヤっ!!」
と、ハーマイオニーがハリー達を呼んで戻ってきた。
「(ハル…)」
が、サクヤの意識はそこで途絶えた。
>>To be continued
(※トロールの唾液に、
実際はそのような効力はございません。
物語の便宜上、そのような付加をつけました。
ご了承ください。)
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