The founder of orphan T
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
不意に、出入り口で物音がした。
――鍵がかけられたのだ。
「誰だよ鍵かけたのはー!
ハル!オレがヤツを引きつけるから、ハルは助けを呼んできてくれ!
オレら二人じゃトロールをどうしようも出来ない!」
サクヤが叫ぶが、ハーマイオニーは首を横に振る。
「いやよ!危険だわ!
それに鍵をかけられてしまった!
どうやって出ればいいのよ?」
ハーマイオニーも負けじと叫ぶ。
「アロホモラだ!
オレは杖を持ってないから呪文は唱えられない!
でもハルなら…!」
トロールがサクヤ達を追い、現れた。
「時間がないんだ!」
ハーマイオニーはサクヤの必死な頼みに、渋々頷いた。
「すぐに人を呼んでくるわ!
それまで絶対に無理をしないで!」
「ああ!
…オレが合図したら扉までダッシュだ!――OK?」
「OK…!」
「よっしゃ」
サクヤはハーマイオニーの頭を撫でた。
「おい!デカブツ!
こっちだ!」
サクヤはトロールに向かって走っていき、撹乱する為に足元に入り込んだ。
「ハル!今だ!」
「うん…!」
ハーマイオニーは出口まで全力で走り、杖を構えて呪文を唱えた。
鍵が開いた。
ハーマイオニーは急いでトイレから出て行った。
「はぁ…よし…」
サクヤは安心し、油断をしてしまった。
ドガン!!
「ぐぁ!!」
トロールの振り回した棍棒が、サクヤの左の頭を直撃した。
「ばはぁア…!」
トロールはいやらしく笑った。
「く…、
知能低いくせして戦いを楽しむなよ…!」
サクヤは強がってはみたが、逃げるどころか、
頭がふらつきほとんど動ける状態でさえもなかった。
「(くそ…これじゃ逃げらんない…!)」
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