The founder of orphan T
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
「バーカ、勘違いすんじゃねーよ」
サクヤはわざとらしく呆れた。
「ハルは小悪魔みたいに可愛い!
そういう意味だ!」
サクヤはニカッと無邪気に笑った。
「ロンにはバッチリ叱っといてやったから」
サクヤは微笑み、今度こそ、しっかりとハーマイオニーの涙を拭ってやった。
「…でも、ロンの言うとおりじゃない…
最近、サクヤはハリー達の方ばっかりにいる…」
「ハルが怒ってるみたいだったから、そっとしとこうと思って…。
けど、やり方が違ったみたいだな」
「…寂しかったの」
「そっか」
「サクヤが取られちゃうって思って」
「うん」
「私が急に冷たくしたら、サクヤ構ってくれると思って…」
「うん」
ハーマイオニーはそれだけ言うと、また泣き出した。
「ごめんな、その気持ちに気付いてやれなくて…。
もうそんな思い、させないからな?」
ハーマイオニーはやっとサクヤを見た。
――髪が汗で頬に張り付き、よく聞くと、声も少し枯れている。
本気で心配したのだろう。
「私こそ…本当にごめんなさい…。
あと…、ありがとう…」
ハーマイオニーは俯いて言った。
「よし、仲直りな!
――ああ腹減った!大広間、早く行こうぜ」
サクヤはハーマイオニーの手を引き、歩き出した。
が、直ぐに止まった。
「――なんか…臭い…?」
「サクヤ、う、後ろ…!」
同意を求める為にハーマイオニーへ振り返ったサクヤが見たものは、
サクヤの後ろを見て驚愕するハーマイオニーの姿だった。
「! トロールだ!!」
サクヤはハーマイオニーの手を引き、女子トイレの一番奥まで走り込んだ。
トロールは出入り口にいたからだ。
「なんで、こんな所に…?」
サクヤは杖を構えようとポケットをまさぐるが、無い。
「ロンにつかみかかった時、辺りにぶちまけたまんまだ…!」
サクヤは青くなった。
「ハル!杖を構えて!」
サクヤはハーマイオニーに指示を出したが、ハーマイオニーは聞けなかった。
「だめよ、教科書と一緒に出入り口に置きっぱなしよ!」
「まじかよ…」
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