The ounder of rphan T 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「バーカ、勘違いすんじゃねーよ」

サクヤはわざとらしく呆れた。

「ハルは小悪魔みたいに可愛い!
そういう意味だ!」

サクヤはニカッと無邪気に笑った。

「ロンにはバッチリ叱っといてやったから」

サクヤは微笑み、今度こそ、しっかりとハーマイオニーの涙を拭ってやった。

「…でも、ロンの言うとおりじゃない…
最近、サクヤはハリー達の方ばっかりにいる…」

「ハルが怒ってるみたいだったから、そっとしとこうと思って…。
けど、やり方が違ったみたいだな」

「…寂しかったの」

「そっか」

「サクヤが取られちゃうって思って」

「うん」

「私が急に冷たくしたら、サクヤ構ってくれると思って…」

「うん」

ハーマイオニーはそれだけ言うと、また泣き出した。

「ごめんな、その気持ちに気付いてやれなくて…。
もうそんな思い、させないからな?」

ハーマイオニーはやっとサクヤを見た。
――髪が汗で頬に張り付き、よく聞くと、声も少し枯れている。
本気で心配したのだろう。

「私こそ…本当にごめんなさい…。

あと…、ありがとう…」

ハーマイオニーは俯いて言った。

「よし、仲直りな!
――ああ腹減った!大広間、早く行こうぜ」

サクヤはハーマイオニーの手を引き、歩き出した。
が、直ぐに止まった。

「――なんか…臭い…?」

「サクヤ、う、後ろ…!」

同意を求める為にハーマイオニーへ振り返ったサクヤが見たものは、
サクヤの後ろを見て驚愕するハーマイオニーの姿だった。

「! トロールだ!!」

サクヤはハーマイオニーの手を引き、女子トイレの一番奥まで走り込んだ。
トロールは出入り口にいたからだ。

「なんで、こんな所に…?」

サクヤは杖を構えようとポケットをまさぐるが、無い。

「ロンにつかみかかった時、辺りにぶちまけたまんまだ…!」

サクヤは青くなった。

「ハル!杖を構えて!」

サクヤはハーマイオニーに指示を出したが、ハーマイオニーは聞けなかった。

「だめよ、教科書と一緒に出入り口に置きっぱなしよ!」

「まじかよ…」






( 43/98 )
[prev] [next]
[back]
[しおりを挟む]



- ナノ -