The founder of orphan T
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
サクヤとハーマイオニーは次のクラスに出て来なかったし、
その日の午後は一度もクラスで見かけなかった。
「ハル、どこ行っちまったんだよ…!」
サクヤがハーマイオニーを探して走りながらそう呟くと、目の前にピーブズが現れた。
「困った時に現れ〜る、それがこの俺ピーブズさ」
ピーブズは歌いながら、サクヤに付いてきた。
「ピーブズも手伝ってくれ!ハーマイオニーを探して!」
「あいあいさ〜」
次の角をサクヤは左に、ピーブズは右に曲がった。
サクヤとピーブズはぴったりと息が合っていた。
ホグワーツ内を走り回り、疲れたサクヤは壁に手をついて汗を拭った。
ちょうどその時、その壁からピーブズが現れた。
「つきあたりの女子トイレにいるってさ!
グリフィンドール女子寮生が喋ってるの聞いたんだ!」
「! そうか!
ピーブズ、ありがとうな!
いつか悪戯グッズ買ってやるよ!」
サクヤはそう言って女子トイレへ走り去った。
-女子トイレ-
「ハル、ハル!
いるんだろ?」
サクヤは女子トイレに着くなり叫んだ。
声は軽く枯れている。
「…………ぐすっ」
返事の代わりに、小さく鼻をすする音が聞こえた。
「ハル?」
サクヤは音がした方へ走り寄ると、そこには頬を涙で濡らしたハーマイオニーがいた。
「ハル!探したんだぜまったく!
手間かけさせやがって…」
サクヤはいたずらっぽく笑いながら、ハーマイオニーの頬を拭った。
「…やめてよ!」
ハーマイオニーはサクヤの手を払い、一歩退いた。
「ハル…?」
サクヤは驚き、ハーマイオニーに手を伸ばす。
「さ、触らないで!
上辺だけの優しさなんて要らないんだから!
悪夢みたいな私といるより大広間で皆と夕食を食べていればいいじゃない!」
ハーマイオニーはまた一歩退いた。
「んー、そうだな…」
サクヤはこの場に似つかわしくない、
飄々とした声を出し、何か考えるように腕を組んだ。
「悪夢っつーより、悪魔だな」
「っ!」
ハーマイオニーの涙が一気に増えた。
それを見たサクヤは意地悪く笑う。
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