The founder of orphan T
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
「――んでよ!」
サクヤの態度が変わった。
「なーんで!
オレを起こさずに行っちゃったんだ?」
サクヤはハーマイオニーに詰め寄った。
鼻同士が触れ合うくらいに。
「えっ?あー…」
ハーマイオニーは視線を逸らす。
「(気付いてないとはいえ、キスした相手をそう簡単にすぐ起こせる訳ないじゃないっ)」
ハーマイオニーは心の中で弁解した。
「……はぁ、もういいよ…」
サクヤは中腰から戻って、諦めたように言った。
「(もしかして嫌われた…?)
あ、あのねサクヤ…――!」
ハーマイオニーは目の前が真っ暗になった。
「良かった。ハルが死ななくて…ほんとに…」
ハーマイオニーはサクヤに抱きしめられていたのだ。
「ハーマイオニーが一人で行っちまったら、いざという時、オレが守れないだろう…!」
サクヤはハーマイオニーの肩に顔をうずめた。
――ハーマイオニーの匂いがした。
ハーマイオニーは心のどこかでなんとなく分かっていた。
サクヤがハーマイオニーを「ハル」と呼ばず、「ハーマイオニー」と呼ぶ時――
それはサクヤとハーマイオニーの距離に変化があったときだということを。
「…飛行訓練でネビルを助けたときのサクヤ…、鷹みたいでカッコ良かったよ」
消え入りそうな声でハーマイオニーは静かにそう言った。
>>To be continued
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