The founder of orphan T
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
4人はなんとか談話室に入り、肘掛け椅子にへたり込んだ。
「あんな怪物を学校の中に閉じこめておくなんて、
連中はいったい何を考えているんだろう」
ロンがやっとの思いで口を開いた。
「世の中に運動不足の犬がいるとしたら、まさにあの犬だね」
「ロン?
本当に閉じ込めてるだけだと思う?」
サクヤはそう言い、ハーマイオニーを見た。
ハーマイオニーはサクヤと目が合うと軽く頷き、後に続いた。
「あの犬が何の上に立ってたか、見なかったの?」
少々つっかかるような言い方だ。
「床の上じゃない?」
とハリー。
「僕、足なんか見てなかった。
頭を3つ見るだけで精一杯だったよ」
とロン。
「ハリー、一般的な意見をありがとう」
サクヤは苦笑いをしながら言った。
「でも床じゃない。
仕掛け扉の上に立ってたんだ。
何かを守ってるに違いない」
「じゃあ私達は戻らせていただくわ。
それでは皆さん、おやすみなさい」
ハーマイオニーは嫌みったらしく言い、サクヤを連れて女子寮へ戻っていった。
「(“犬が何かを守っている”…)」
ハリーは713番金庫から持ってきたあの汚い小さな包みが今どこにあるのか、それが分かった気がした。
-女子寮-
「サクヤ、さっきは扉を開けてくれてありがとう」
部屋に戻ったハーマイオニーは開口一番、サクヤに礼を言った。
「いやあ、ピーブズに聞いたら4階の右側の廊下って言ったからよ、慌てて来たんだ」
サクヤは後頭部を掻き、照れた様に笑った。
「…ピーブズ?
ピーブズに尋ねて、ピーブズは素直に答えたの?」
ハーマイオニーは驚いた。
無理もない。
「ああ。
――ハル、君には話しとこうかな…」
サクヤはピーブズとの出来事をハーマイオニーに話して聞かせた。
「――そう、なんだか…サクヤのお母さんらしいわね」
ハーマイオニーは微笑んだ。
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