The ounder of rphan T 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「お前、あのお人の子どもだったのか…。
ローザ様はな…俺に良くしてくれたんだ…。
イタズラで悪さばかりをやって…見放された俺と、
向き合って話してくれた、たった一人のお方だ――もちろんダンブルドアを除いてな」

ピーブズは他の人に見せない、子供のような無邪気な笑顔を作った。
だが、すぐにしおれてしまった。

「ローザ様がお亡くなりなられたって皆が言った時…、俺は耐えられなかったよ…。
嘘だ嘘だと、信じたくなかった」

サクヤは寂しそうなピーブズを見、無言で頭を撫でた。

「…本当なんだな子どもだってのは。
アンタ、ローザ様にそっくりだし、ローザ様も頭を撫でて下さった!」

サクヤは心の奥が暖まる気がした。
サクヤの中では、もう既に“悪さのピーブズ”から
“母親のことを知る友人ピーブズ”へと変わっていた。

「母さんの事、話してくれてありがとう。
もう一つ聞くけど、ハリー達を見なかった?」

「ああ、4階の右側の廊下にいたよ」

ピーブズはサクヤにだけは悪さはしないと密かに心に誓った。
否、誓ったのは忠誠だった。

「ありがと、それじゃ!」

サクヤはまた駆け出した。
走っているときに、ふと思い出した。
「とても痛い死に方をしたくない人は、今年いっぱい四階の右側の廊下に入ってはいけません」。

「…やばいじゃん!」

サクヤは走る速度を上げた。



*****



「…もうOKだ――ネビル、離してくれよ!」

ハリーはネビルにヒソヒソ声で言った。
どうやらフィルチを巻けたようだった。

「え?なに?」

ハリーは振り返った――そしてはっきりと見た。“なに”を。
そこには、頭が三つある犬が唸り声をあげていた。
ハリーは慌ててドアの取っ手をまさぐった。
――上手く掴めない。

と、ドアは自動で開いた――サクヤが向こう側から開けたのだ。

「サクヤっ…逃げて!」

ハリー、ロン、ハーマイオニー、ネビルの4人はサクヤの目の前に倒れ込んだ。
そこで視界が開けたサクヤが目にしたものは、三頭犬。

「なっ…!」

サクヤは慌ててドアを閉め、4人を立たせて猛ダッシュした。
――ようやく七階の太った婦人の肖像画の前までたどり着いた。

「ハル――大丈夫――?」

サクヤはハーマイオニーの肩に手を置いた。
ハーマイオニーは喋れる状態ではなく、ただただ首を縦にふっていた。

肩に置いた手が大きく上下に動いていた。






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