The ounder of rphan T 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「……――フィルチ先生…?」

サクヤは廊下の角に隠れ、声がしている所を見た。
ポルターガイストのピーブズとフィルチ先生だ。
ミセス・ノリスもいる。
2人(と1匹)は軽く口論らしき事をしていた。
フィルチがからかわれている。

「くすっ…」

滅多に見られない光景だ、とサクヤは静かに笑った。

「ばぁ〜」

「っっ!!?」

不意に後ろから、低い、男の声がし、サクヤは驚きの悲鳴を必死にこらえた。
振り返ると、先ほど消えたピーブズがいた。
フィルチに気付かれなかったかと目を戻すと、そこにはもう誰もいなかった。

「はぁ…!
驚かすなよピーブズ!」

サクヤは静かに怒りながらピーブズを見た。
…ピーブズは固まっていた。

「…ロ、ローザ様!?
お懐かしゅう御座います!」

イタズラで有名のピーブズが改まった。

「へ?」

サクヤは度肝を抜かれた。

「お覚えでは御座いませんか?
ポルターガイストのピーブズに御座います!
ああ、お亡くなりになられたと皆が言っていたのはやはり嘘でした…」

サクヤの手を取り、ピーブズは尋ねた。

「えっと…、人違いかな?
オレはサクヤだよ…」

「い〜や!このピーブズめが間違える訳が御座いません!
貴女様はローザ・フェリックスです!
からかっても無駄ですよ!お見通しです!」

サクヤは目を見開いた。

「今、なんて…?フェリックス…?
ローザ・フェリックス!?」

今度はピーブズが押される番だった。

「母さんを知ってるの!?」

ローザという名前に心当たりがなかったわけではない。
同名の他人という可能性があったのだが、姓が「フェリックス」となると、
その名は母親以外にありえなかった。

「『母さん』?」

「ああ!ローザ・フェリックスはオレの母親だ!
オレはローザの子供、サクヤ・フェリックスだ!」

ピーブズも目を見開いた。

「サクヤ…ローザの子…フェリックス…」

ピーブズはキーワードばかりを呟いた。

「オレは母さんの事、名前と使っていた杖の事しか知らないんだ!
他に何か知ってるんだろう?教えてくれ!」

サクヤが余りにも必死なので、ピーブズは少しずつ、ローザとの関係を話し出した。






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