The founder of orphan T
-総受男装ハーマイオニー百合夢-
-11時半-
――それからどのくらい時間が経っただろうか。
実質的には30分も経っていないが、何もしていないとなると、長く感じるものだ。
不意に男子寮から足音が聞こえた。
――2人だ。
ハーマイオニーはいつもの調子を取り戻し、2人を待った。
案の定、ハリー達は忍び足で出口の肖像画の穴に入ろうとした。
ハーマイオニーはサクヤを起こさないようにゆっくりと退き、ハリー達に話しかけた。
「ハリー、まさかあなたがこんな事をするとは思わなかったわ」
ランプを点け、ハリー達を照らす。
サクヤは一向に起きる気配がない。
「また君か!
ベッドに戻れよ!」
ロンはカンカンになって言った。
「本当はあなたのお兄さんに言おうかと思ったのよ。
パーシーに。
監督生だから、絶対に止めさせるわ」
ハーマイオニーは容赦なく言った。
ハリーは呆れ、ロンに「行くぞ」と声を掛け、肖像画を押し開け、談話室から出て行った。
ハーマイオニーも、諦めずに追いかけて行ってしまった。
談話室は静かになり、暖炉の残り火も大分小さくなった時、漸くサクヤは目を覚ました。
「ん…、あれ…ハル…?」
サクヤはハーマイオニーがいない事に気付き辺りを見回す。
「悪夢を見なかったから、さっきまでそばにいてくれたと思うんだけど…」
サクヤは呟き、女子寮に戻ってみることにした。
「…ハル?いる?」
部屋を見回したが誰もいない。
そこでサクヤはある仮説を立てた。
「ハリー達を追いかけて談話室を出て行った…?」
ハーマイオニーならやりかねないと、真偽を確かめるべく、男子寮のハリー達の部屋を見に行った。
「…いない…」
仮説は当たっていたようだ。
サクヤはハーマイオニーを追おうと、談話室を出た。
「さあて、どこで決闘やってるんだろ…?」
ホグワーツは広い。
むやみやたらに探し回ると入れ違いになりかねない。
正確に位置を把握しなければ。
と、その時、金属の重い物が倒れる音がした。
そして遠くで、ハリーの声らしき音で「逃げろ!」と聞こえた気がした。
「…案外近い…?」
サクヤは音がした方へと走っていった。
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