The ounder of rphan T 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




-PM11時、グリフィンドール談話室-

「止めさせるって…待ち伏せかよ…」

暖炉の前の二人掛けソファにハーマイオニーと腰掛け、サクヤは苦笑いした。

「あら、あなたまで居る必要はないわよ?
眠いでしょう?部屋に戻ったら?」

ハーマイオニーはサクヤに言った。

「いや、無理…。
情けない事に、夜1人で眠れないんだ…同じ部屋に誰かが居ないと…」

サクヤは口を尖らせ、照れて言った。

「どうして?」

「なんつーか、1人で眠ると必ず悪い、嫌な夢を見て…、
汗だくで、起きても誰もそばにいない。
世界でたった独りぼっちになった気分になるんだ。
…それが怖い」

ハーマイオニーはサクヤの意外な弱点を知り、驚いていた。
サクヤは俯き、ハーマイオニーに顔が見られないようにした。

「――…そう」

ハーマイオニーはただそれだけ言った。

「笑わないの?幼稚だって」

「誰にだって怖いものくらいあるわよ。
それを笑うなんて、私そんなに狭い人間じゃないわ」

ハーマイオニーはサクヤに笑いかけた。

サクヤは視線を前に戻し、申し訳なさそうに微笑んだ。



*****



「――…眠い…」

数10分後、安心したサクヤは深くソファに沈み込み、ハーマイオニーの肩に頭を乗せた。

「…っ」

ハーマイオニーはハリー達を待つふりをしながら、1人心臓の運動会をしていた。

「すー…」

やがてサクヤは猫のようにハーマイオニーに擦り寄り、眠りについた。

「………っ、」

ハーマイオニーはちらっとサクヤの顔を覗き込んだ。
二重瞼がしっかりと閉じられ、代わりに口が少し開いていた。

ハーマイオニーは肩を少し動かし、サクヤが起きない事を確認した。

「…一瞬、なら…」

ハーマイオニーは少しずつ、自らの唇をサクヤの唇に近づけていった。

「(ごめんねサクヤ、我慢…できそうにないみたい)」

触れるか触れないかの一瞬の僅かなキス。
それだけでもハーマイオニーの心臓は痛いくらいに鼓動が早かった。

「――……、」

キスに気付かないサクヤは眠り続けていた。





( 32/98 )
[prev] [next]
[back]
[しおりを挟む]



- ナノ -