The ounder of rphan T 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




-その日の午後3時半-

サクヤ達は飛行訓練を受けるため、正面階段から校庭へと急いだ。
よく晴れた少し風のある日で、足元の草がサワサワと波立っていた。

「絶好の飛行訓練日和だなー!」

スリザリン寮生はすでに到着していて、並んでいた。

グリフィンドール寮生も並び終わった時、マダム・フーチがやって来た。
白髪を短く切り、鷲のような黄色い目をしている。

「フーチ先生かっこいいな…!」

サクヤはハーマイオニーに話し掛けた。

「(あなたの方が断然かっこいいじゃない…)」

ハーマイオニーは心の中で答えた。

「なにをボヤボヤしてるんですか」

フーチ先生は開口一番ガミガミだ。

「みんな箒のそばにたって。
さあ、早く。
右手を箒の上に突き出して」

フーチ先生が掛け声をかけた。

「そして、『上がれ!』と言う」

みんな一斉に「上がれ!」と叫ぶ。

サクヤは暫く周りを観察していた。
ハリーの箒はすぐさま飛び上がり手に収まったが、飛び上った箒は少なかった。

「よーし、オレも…!」

サクヤは気合いを入れ直し、手を箒の上に突き出し、叫ぶために息を吸った。

「…――!」

しかしサクヤは叫べなかった。否、叫ぶ必要が無かった。
何故なら、サクヤが手を突き出し口を開いた途端に箒がスッポリと手に収まったからだ。

「!?
サクヤ、あなた凄いじゃない!」

隣のハーマイオニーは驚き、そして喜んだ。
サクヤは驚いたまま目をパチクリ。
そして「わぉ」の一言。

「さあ、私が笛を吹いたら、地面を強く蹴ってください。
――1、2の――」

ところが、ネビルは、緊張するやら怖じ気づくやらで、
先生の唇が笛に触れる前に思い切り地面を蹴ってしまった。

「こら、戻ってきなさい!」

先生の大声をよそに、ネビルは地面からどんどん離れ、
そして箒から真っ逆さまに落ちていく――

「ネビル!!」

サクヤは反射的に箒に跨り、ネビルへと向かった。
そしてネビルを空中キャッチした。

「くっ、重い…!

――あ!!」

キャッチは無事に成功したものの、ネビルの体重と重力に負けてネビルを取り落としてしまった。
ガーン!――ドサッ、ポキッといういやな音を立ててネビルは墜落した。
サクヤは地面すれすれまで勢いよく急降下し、減速をかけて着地した。

「ネビル!ネビル!」

やがてフーチ先生がそばにきてネビルの上に屈み込んだ。

「手首が折れてるわ」

「そんな…!」

フーチ先生がそう呟くのをサクヤは聞き取り、ショックを受けた。







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