The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「そう」

ウィーズリーおばさんは息を深く吸い込み、支持を求めるようにテーブルをぐるりと見回したが、誰もいなかった。

「そう……どうやら私は却下されるようね。
これだけは言わせていただくわ。
ダンブルドアがハリーにあまり多くを知ってほしくないとおっしゃるからにはダンブルドアなりの理由がおありのはず。
それに、ハリーにとって何が一番よいことかを考えている者として――」

「ハリーはあなたの息子じゃない」

シリウスが静かに言った。

「息子も同然です」

ウィーズリーおばさんが激しい口調で言った。

「ほかに誰がいるっていうの?」

「わたしがいる!」

「そうね」

ウィーズリーおばさんの口元がくいっと上がった。

「ただし、あなたがアズカバンに閉じ込められていた間は、この子の面倒を見るのが少し難しかったのじゃありません?」

シリウスは椅子から立ち上がりかけた。

「モリー、このテーブルに着いている者で、ハリーのことを気遣っているのは、君だけじゃない」

ルーピンは厳しい口調で言った。

「シリウス、座るんだ

ウィーズリーおばさんの下唇が震えていた。
シリウスは蒼白な顔で、ゆっくりと椅子に腰掛けた。

「ハリーも、このことで意見を言うのを許されるべきだろう」

ルーピンが言葉を続けた。

「もう自分で判断できる年齢だ」

「僕、知りたい。何が起こっているのか」

ハリーは即座に答えた。
ハリーはウィーズリーおばさんのほうを見なかった。
おばさんがハリーを息子同然だと言ったことに胸を打たれていた。
しかし、おばさんに子ども扱いされることに我慢できなかったのも確かだった。
シリウスの言うとおりだ。僕は子どもじゃない。

「わかったわ」

ウィーズリーおばさんの声が嗄れていた。

「ジニー――ロン――ハーマイオニー――フレッド――ジョージ――。
みんな厨房から出なさい。すぐに」

たちまちどよめきが上がった。

「俺たち成人だ!」

フレッドとジョージが同時に嘆いた。

「ハリーがよくて、どうして僕はだめなんだ?」

ロンが叫んだ。

「ママ、あたしも聞きたい!」

ジニーが鼻声を出した。

「だめ!」

ウィーズリーおばさんが叫んで立ち上がった。目がらんらんと光っている。

「絶対に許しません――」

「モリー、フレッドとジョージを止めることはできないよ」

ウィーズリーおじさんが疲れたように言った。

「2人ともたしかに成人だ」

「まだ学生だわ」

「しかし、法律ではもう大人だ」

おじさんが、また疲れた声で言った。おばさんは真っ赤な顔をしている。

「私は――ああ――しかたがないでしょう。
フレッドとジョージは残ってよろしい。でもロン――」

「どうせハリーが、僕とハーマイオニーに、みんなの言うことを全部教えてくれるよ!」

ロンが熱くなって言った。

「そうだよね?――ね?」

ロンはハリーの目を見ながら、不安げに言った。
ハリーは一瞬、ロンに、ひと言も教えてやらないと言ってやろうかと思った。
何にも知らされずにいることがどんな気持ちか味わってみればいい、と言おうかと思った。
しかし、意地悪な衝動は、互いの目が合ったとき、消え去った。

「もちろんさ」

ハリーが言った。
ロンとハーマイオニーがにっこりした。

「そう!」

おばさんが叫んだ。

「そう!ジニー――寝なさい!

ジニーはおとなしく引かれてはいかなかった。
階段を上がる間ずっと、母親に喚き散らし、暴れているのが聞こえた。
2人がホールに着いたとき、ブラック夫人の耳を劈く叫び声が騒ぎにつけ加わった。ルーピンは静寂を取り戻すため、肖像画に向かって急いだ。
ルーピンが戻り、厨房の扉を閉めてテーブルに着いたとき、シリウスがやっと口を開いた。

「オーケー、ハリー……何が知りたい?」

ハリーは深く息を吸い込み、まずはこの1ヶ月間ずっと自分を悩ませていた質問をした。

「ヴォルデモートはどこにいるの?」

名前を口にしたとたん、またみんながぎくりとし、身震いするのをハリーは無視した。

「あいつは何をしているの?
マグルのニュースをずっと見てたけど、それらしいものはまだ何にもないんだ。不審な死とか」

「それは、不審な死がまだないからだ」

シリウスが言った。

「我々が知るかぎりではということだが……それに我々は、相当いろいろ知っている」

「とにかく、あいつの想像以上にいろいろ知っているんだがね」

ルーピンが言った。

「どうして人殺しをやめたの?」

ハリーが聞いた。
去年1年だけでも、ヴォルデモートが一度ならず人を殺したことをハリーは知っていた。

「それは、自分に注意を向けたくないからだ」

シリウスが答えた。

「あいつにとって、それが危険だからだ。
あいつの復活は、自分の思いどおりにはいかなかった。わかるね。しくじったんだ」

「というより、君とサクヤがしくじらせた」

ルーピンが、満足げに微笑んだ。

「どうやって?」

ハリーは当惑した。

「君は生き残るはずじゃなかったし、サクヤはあのまま彼らに引き入れられるはずだった!」

シリウスが言った。

「『死喰い人』以外は、誰もあいつの復活を知るはずじゃなかった。
ところが、君たちは証人として生き残った」

「しかも、蘇ったときに、それを一番知られたくない人物がダンブルドアだった」

ルーピンが言った。

「ところが、君がすぐさま、確実にダンブルドアに知らせた」

「それがどういう役に立ったの?」

ハリーが聞いた。

「役立ったどころじゃない」

ビルが信じられないという声を出した。

「ダンブルドアは、『例のあの人』が恐れた唯一の人物だよ!」

「君たちのおかげで、ダンブルドアは、ヴォルデモートの復活から1時間後には、不死鳥の騎士団を呼び集めることができた」

シリウスが言った。



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