The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「それじゃ、ダンブルドアは、どうしてそんなに必死で僕に何にも知らせないようにしたんだい?」

ハリーは普通の気軽な声を保つのに苦労しながら聞いた。

「君たち――えーと――理由を聞いてみたのかなぁ?」

ハリーがチラッと目を上げたとき、ちょうど2人がまた顔を見合わせているのを見てしまった。ハリーの態度が、まさに2人が心配していたとおりだったという顔をしていた。
ハリーはますます不機嫌になった。

「何が起こっているかを君に話したいって、ダンブルドアにそう言ったよ」

ロンが答えた。

「ほんとだぜ、おい。
だけど、ダンブルドアはいま、めちゃくちゃ忙しいんだ。
僕たち、ここに来てから2回しか会っていないし、あの人はあんまり時間が取れなかったし。
ただ、僕たちが手紙を書くとき、重要なことは何にも書かないって誓わせられて。
あの人は、ふくろうが途中で傍受されるかもしれないって言った」

「それでも僕に知らせることはできたはずだ。ダンブルドアがそうしようと思えば」

ハリーはずばりと言った。

「ふくろうなしで伝言を送る方法を、ダンブルドアが知らないなんて言うつもりじゃないだろうな」

ハーマイオニーがロンをチラッと見て答えた。

「私もそう思ったの。
でも、ダンブルドアはあなたに何にも知ってほしくなかったみたい」

「僕が信用できないと思ったんだろうな」

2人の表情を見ながらハリーが言った。

「バカ言うな」

ロンがとんでもないという顔をした。

「じゃなきゃ、僕が自分で自分の面倒を見られないと思った」

「もちろん、ダンブルドアがそんなこと思うわけないわ!」

ハーマイオニーが気遣わしげに言った。

「それじゃ、君たち2人はここで起こっていることに加わってるのに、サクヤは抜け駆けできたのに、どうして僕だけがダーズリーのところにいなくちゃいけなかったんだ?」

言葉が次々と口を突いて転がり出た。
ひと言しゃべるたびに声がだんだん大きくなった。

「サクヤは抜け駆けしてるわけじゃないわ!」

ハーマイオニーが庇うように言った。

「どうして君たちだけが、何もかも知っててもいいんだ?」

「何もかもじゃない!」

ロンが遮った。

「ママが僕たちを会議から遠ざけてる。若すぎるからって言って――」

ハリーは思わず叫んでいた。

「それじゃ、サクヤは抜け駆けしてないし、君たちは会議には参加してなかった。だからどうだって言うんだ!
サクヤがホグワーツ城にいるのは事実だろう?君たちは一緒にここにいた。そうだろう?
僕は、1ヵ月もダーズリーのところに釘づけだ!
だけど、僕は、君たち2人の手に負えないようなことでもサクヤと一緒にいろいろやり遂げてきた。
ダンブルドアはそれを知ってるはずだ――賢者の石を守ったのは誰だ?
リドルをやっつけたのは誰だ?
君たちの命を吸魂鬼から救ったのは誰だって言うんだ?」


この1ヶ月積もりに積もった恨みつらみが溢れ出した。
何もニュースがなかったことの焦り、2人が一緒にいたのに、ハリーだけが除け者だったことの痛み、監視されていたのにそれを教えてもらえなかった怒り――自分でも半ば恥じていたすべての感情に、サクヤとの扱いの雲泥の差で生まれた妬みも加わって一気に堰を切り溢れ出した。
ヘドウィグは大声に驚いて飛び上がり、また洋箪笥の上に舞い戻った。
ピッグウィジョンはびっくりしてピーピー鳴きながら、頭上をますます急旋回した。

「4年生のとき、いったい誰が、ドラゴンやスフィンクスや、ほかの汚いやつらを出し抜いた?
誰があいつの復活を目撃した?再起不能のサクヤを連れて、誰があいつから逃げ遂せた?僕だ!」


ロンは、度肝を抜かれて言葉も出ず、口を半分開けてその場に突っ立っていた。
ハーマイオニーは泣きだしそうな顔をしていた。

「だけど、何が起こってるかなんて、どうせ僕に知らせる必要ないよな?
誰もわざわざ僕に教える必要なんてないものな?」


「ハリー、私たち、教えたかったのよ。本当よ――」

ハーマイオニーが口を開いた。

「それほど教えたいとは思わなかったんだよ。そうだろう?
そうじゃなきゃ、僕にふくろうを送ったはずだ。だけど、『ダンブルドアが君たちに誓わせたから』――」


「だって、そうなんですもの――」

「4週間もだぞ。
僕はプリベット通りに缶詰で、何がどうなってるのか知りたくて、ゴミ箱から新聞を漁ってた――」


「私たち、教えてあげたかった――」

「君たち、さんざん僕を笑いものにしてたんだ。そうだろう?
みんな一緒に、ここに隠れて――」


「違うよ。まさか」

「ハリー、ほんとにごめんなさい!」

ハーマイオニーは必死だった。目には涙が光っていた。

「あなたの言うとおりよ、ハリー――私だったら、きっとカンカンだわ!」

ハリーは息を荒らげたまま、ハーマイオニーを睨みつけた。
それから2人から離れ、部屋を往ったり来たりした。
ヘドウィグは洋箪笥の上で、不機嫌にホーと鳴いた。
しばらくみんな黙りこくった。
ハリーの足下で、床が呻くように軋む音だけが時々沈黙を破った。

「ここはいったいどこなんだ?」

ハリーが突然ロンとハーマイオニーに聞いた。

「不死鳥の騎士団の本部」

ロンがすぐさま答えた。

「どなたか、不死鳥の騎士団が何か、教えてくださいますかね――?」

「秘密同盟よ」

ハーマイオニーがすぐに答えた。

「ダンブルドアが率いてるし、設立者なの。前回『例のあの人』と戦った人たちよ」

「誰が入ってるんだい?」

ハリーはポケットに手を突っ込んで立ち止まった。

「ずいぶんたくさんよ――」

「僕たちは20人ぐらいに会った」

ロンが言った。

「だけど、もっといると思う」

ハリーは2人をじろっと見た。

それで?

2人を交互に見ながら、ハリーが先を促した。

「え?」

ロンが言った。

「それでって?」

ヴォルデモート!

ハリーが怒り狂った。ロンもハーマイオニーも身をすくめた。

「どうなってるんだ?やつは何を企んでる?どこにいる?
やつを阻止するのに何をしてるんだ?」

言ったでしょう?騎士団は、私たちを会議に入れてくれないって」

ハーマイオニーが気を使いながら言った。

「だから、詳しくは知らないの――だけど大まかなことはわかるわ」

ハリーの表情を見て、ハーマイオニーは急いでつけ加えた。



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