The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「ドローレス」

何かに徹底的に決着をつけようという雰囲気で、ファッジが言った。

「今夜の会合だが――間違いなく行われたと分かっている集会のことだが――」

「はい」

アンブリッジは気を取り直して答えた。

「はい……ええ、ミス・エッジコムがわたくしに漏らし、私は信用できる生徒たちを何人か連れて、すぐさま8階に赴きました。会合に集まった生徒たちを現行犯で捕まえようと思いましたのでね。
ところが、私が来るという警告が前もって伝わったらしく、8階に着いたときには、みんなが蜘蛛の子を散らすように逃げていくところでした。
しかし、それはどうでもよろしい。
全員の名前がここにあります。フェリックスを捕まえたミス・パーキンソンが、わたくしの命で、その後何か残っていないかと『必要の部屋』に駆け込みましてね。証拠が必要でしたが、それが部屋にありました」

ハリーにとっては最悪なことに、アンブリッジはポケットから、「必要の部屋」の壁に貼ってあった名簿を取り出し、ファッジに手渡した。

「このリストにポッターとフェリックスの名前を見た瞬間、わたくしは問題が何かわかりました」

アンブリッジが静かに言った。

「でかした」

ファッジは満面の笑みだった。

「でかしたぞ、ドローレス。さて……なんと……」

ファッジは、杖を軽く握ってマリエッタのそばに立ったままのダンブルドアを見た。

「生徒たちが、グループを何と命名したかわかるか?」

ファッジが低い声で言った。

ダンブルドア軍団だ」

ダンブルドアが手を伸ばしてファッジから羊皮紙を取った。
ハーマイオニーが何ヵ月も前に手書きした会の名前をじっと見つめ、ダンブルドアは、しばらく言葉が出ないように見えた。
それから目を上げたダンブルドアは、微笑んでいた。

「さて、万事休すじゃな」

ダンブルドアはさばさばと言った。

「わしの告白書をお望みかな、コーネリウス?――それとも、ここにおいでの目撃者を前にひと言述べるだけで十分かの?」

マクゴナガルとキングズリーが顔を見合わせるのを、ハリーは見た。2人とも恐怖の表情を浮かべていた。
何が起こっているのか、ハリーにはわからなかった。どうやらファッジも分からなかったらしい。

「ひと言述べる?」

ファッジがのろのろと言った。

「いったい――何のことやら――?」

「ダンブルドア軍団じゃよ、コーネリウス」

ダンブルドアは、微笑んだまま、名簿をファッジの目の前でひらひらさせた。

「ポッター軍団でも、フェリックス軍団でもない。ダンブルドア軍団じゃ」

「し――しかし――」

突然、ファッジの顔に閃きが走った。
ぎょっとなって後退りし、短い悲鳴をあげてまた暖炉から飛び出した。

「あなたが?」

ファッジはまたしても燻るマントを踏みつけながら、囁くように言った。

「そうじゃ」

ダンブルドアは愛想よく言った。

「あなたがこれを組織した?」

「いかにも」

ダンブルドアが答えた。

「あなたがこの生徒たちを集めて――あなたの軍団を?」

「今夜がその最初の会合のはずじゃった」

ダンブルドアが頷きながら言った。

「みんなが、それに加わることに関心を持つかどうかを見るだけのものじゃったが。
どうやら、ミス・エッジコムを招いたのは、明らかに間違いだったようじゃの」

マリエッタが頷いた。
ファッジは腕を反らしながら、マリエッタからダンブルドアへと視線を移した。

「では、やっぱり、あなたは私を陥れようとしていたのだな!」

ファッジが喚いた。

「そのとおりじゃ」

ダンブルドアは朗らかに言った。

「先生――!」

たまらずサクヤが口を挟んだ。ダンブルドアはさっと手を挙げてそれを制した。

「庇おうとせずともよい、サクヤ」

ダメです!

ハリーも叫んだ。
キングズリーがサクヤの腕を再び掴み、ハリーには素早く警告の眼差しを送った。
マクゴナガルは脅すようにカッと目を見開いた。しかし、ダンブルドアが何をしようとしているのか、ハリーは突然気づいたのだ。そんなことをさせてはならない。

「だめです――ダンブルドア先生――!」

「静かにするのじゃ、ハリー。
さもなくば、わしの部屋から出ていってもらうことになろうぞ」

ダンブルドアが落ち着いて言った。
サクヤはキングズリーを見上げ、目で何かを訴えていたが、彼はわずかに首を横に振るばかりだった。

「そうだ、黙れ、2人とも」

恐怖と喜びが入り交じったような目でダンブルドアをじろじろ見ながら、ファッジが吠え立てた。

「ほう、ほう、ほう――今夜はポッターたちを退学にするつもりでやって来たが、代わりに――」

「代わりにわしを逮捕することになるのう」

ダンブルドアが微笑みながら言った。

「海老で鯛を釣ったようなものじゃな?」

「ウィーズリー!」

いまや間違いなく喜びに打ち震えながら、ファッジが叫んだ。

「ウィーズリー、全部書き取ったか?言ったことをすべてだ。ダンブルドアの告白を。書き取ったか?」

「はい、閣下。大丈夫です、閣下!」

パーシーが待ってましたとばかりに答えた。
猛スピードでメモを取ったので、鼻の頭にインクが飛び散っている。

「ダンブルドアが魔法省に対抗する軍団を作り上げようとしていたくだりは?私を失脚させようと画策していたくだりは?」

「はい、閣下。書き取りましたとも!」

嬉々としてメモに目を通しながら、パーシーが答えた。

「よろしい、では」

ファッジはいまや、歓喜に顔を輝かせている。

「ウィーズリー、メモを複写して、1部を即刻、『日刊予言者新聞』に送れ。ふくろう速達便を使えば、朝刊に間に合うはずだ!」

パーシーは脱兎のごとく部屋を飛び出し、扉をバタンと閉めた。
ファッジがダンブルドアのほうに向き直った。

「おまえをこれから魔法省に連行する。そこで正式に起訴され、アズカバンに送られ、裁判を待つことになる」

「ああ」

ダンブルドアが穏やかに言った。

「やはりのう。その障害に突き当たると思うておったが」

「障害?」

ファッジの声はまだ喜びに震えていた。

「ダンブルドア、私には何の障害も見えんぞ!」

「ところが」

ダンブルドアが申し訳なさそうに言った。

「わしには見えるのう」

「ほう、そうかね?」

「さて――あなたはどうやら、わしが――どういう表現じゃったかの?――神妙にする、という幻想のもとに骨を折っているようじゃ。
残念ながら、コーネリウス、わしは神妙に引かれては行かんよ。アズカバンに送られるつもりはまったくないのでな。
もちろん、脱獄はできるじゃろうが――それはまったくの時間の無駄というものじゃ。
正直言って、わしにはほかにいろいろやりたいことがあるのでな」




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