The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「ハリー、この方はアラスター・ムーディだ」

ルーピンがムーディを指して言った。

「ええ、知ってます」

ハリーは気まずそうに言った。
1年ものあいだ知っていると思っていた人を、改めて紹介されるのは変な気持ちだった。

「そして、こちらがニンファドーラ――」

「リーマス、わたしのことニンファドーラって呼んじゃだめ

若い魔女が身震いして言った。

「トンクスよ」

「ニンファドーラ・トンクスだ。
苗字のほうだけを覚えてほしいそうだ」

ルーピンが最後まで言った。

「母親が『かわいい水の精ニンファドーラ』なんてバカげた名前をつけたら、あなただってそう思うわよ」

トンクスがブツブツ言った。

「それからこちらは、キングズリー・シャックルボルト」

ルーピンは、背の高い黒人の魔法使いを指していた。紹介された魔法使いが頭を下げた。

「エルファイアス・ドージ」

ゼイゼイ声の魔法使いがこくんと頷いた。

「ディーダラス・ディグル――」

「以前にお目にかかりましたな」

興奮しやすい性質のディグルは、紫色のシルクハットを落として、キーキー声で挨拶した。

「エメリーン・バンス」

エメラルドグリーンのショールを巻いた、堂々とした魔女が、軽く首を傾げた。

「スタージス・ポドモア」

顎の角ばった、麦わら色の豊かな髪の魔法使いがウィンクした。

「そしてヘスチア・ジョーンズ」

ピンクの頬をした黒髪の魔女が、トースターの隣で手を振った。
紹介されるたびに、ハリーは一人ひとりにぎこちなく頭を下げた。
みんなが何か自分以外のものを見てくれればいいのにと思った。突然舞台に引っ張り出されたような気分だった。
どうしてこんなに大勢いるのかも疑問だった。

「君を迎えにいきたいと名乗りを上げる人が、びっくりするほどたくさんいてね」

ルーピンが、ハリーの心を読んだかのように、口の両端をひくひくさせながら言った。

「うむ、まあ、多いに越したことはない」

ムーディが暗い顔で言った。

「ポッター、わしらは、おまえの護衛だ」

「私たちはいま、出発しても安全だという合図を待っているところなんだが」

ルーピンがキッチンの窓に目を走らせながら言った。

「あと15分ほどある」

「すっごく清潔なのね、ここのマグルたち。ね?」

トンクスと呼ばれた魔女が、興味深げにキッチンを見回して言った。

「わたしのパパはマグル生まれだけど、とってもだらしないやつで。
魔法使いもおんなじだけど、人によるのよね?」

「あ――うん」

ハリーが言った。

「あの」

ハリーはルーピンのほうを見た。

「いったい何が起こってるんですか?誰からも何にも知らされない。いったいヴォル――?」

何人かがシーッと奇妙な音を出した。
ディーダラス・ディグルはまた帽子を落とし、ムーディは「黙れ!」と唸った。

「えっ?」

ハリーが言った。

「ここでは何も話すことができん。危険すぎる」

ムーディが普通の目をハリーに向けて言った。
魔法の目は天井を向いたままだ。

「くそっ」

ムーディは魔法の目に手をやりながら、怒ったように毒づいた。

「動きが悪くなった――あの碌でなしがこの目を使ってからずっとだ」

流しの詰まりを汲み取るときのようなブチュッといういやな音を立て、ムーディは魔法の目を取り出した。

「マッド-アイ、それって、気持ち悪いわよ。わかってるの?」

トンクスが何気ない口調で言った。

「ハリー、コップに水を入れてくれんか?」

ムーディが頼んだ。
ハリーは食器洗浄機まで歩いていき、きれいなコップを取り出し、流しで水を入れた。
その間も、魔法使い集団はまだじっとハリーに見入っていた。
あまりしつこく見るので、ハリーは煩わしくなってきた。

「や、どうも」

ハリーがコップを渡すと、ムーディが言った。
ムーディは魔法の目玉を水に浸け、突ついて浮き沈みさせた。
目玉はくるくる回りながら、全員を次々に見据えた。

「帰路には360度の視野が必要なのでな」

「どうやって行くんですか?――どこへ行くのか知らないけど」

ハリーが聞いた。

「箒だ」

ルーピンが答えた。

「それしかない。君は『姿現わし』には若すぎるし、『煙突ネットワーク』は見張られている。
未承認の移動キーを作れば、我々の命がいくつあっても足りないことになる」

「リーマスが、君はいい飛び手だと言うのでね」

キングズリー・シャックルボルトが深い声で言った。

「すばらしいよ」

ルーピンが自分の時計で時間をチェックしながら言った。

「とにかく、ハリー、部屋に戻って荷造りしたほうがいい。
合図が来たときに出発できるようにしておきたいから」

「わたし、手伝いに行くわ」

トンクスが明るい声で言った。
トンクスは興味津々で、ホールから階段へと、周りを見回しながらハリーについてきた。



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