The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「それから、どうなったの?反対派の巨人たちには近づけたの?」

「なに?あ……ああ、うん。そうだとも。
カーカスが殺されてから3日目の夜、俺たちは隠れていた穴からこっそり抜け出して、谷のほうを目指した。死喰い人の姿に目を凝らしながらな。
洞穴に2,3ヵ所入ってみたが、だめだ――そんで、6つ目ぐれえで、巨人が3人隠れてるのを見つけた」

「洞穴がぎゅうぎゅうだったろうな」

ロンが言った

「ニーズルの額だったな」

ハグリッドが言った。

「話すことはできた?」

サクヤが聞いた。

「まともな身体だったら、こっちが話し出す前に襲ってきただろうな」

ハグリッドが言った。

「だが、連中はひどく怪我しとった。3人ともだ。
ゴルゴマス一味に気を失うまで叩きのめされて、正気づいたとき洞穴を探して、一番近くにあった穴に追い込んだ。
とにかく、そのうちの1人がちっとは英語ができて、ほかの2人に通訳して、そんで、俺たちの言いたいことは、まあまあ伝わったみてえだった。
そんで、俺たちは、傷ついた連中を何回も訪ねた……たしか、一度は6人か7人ぐれえが納得してくれたと思う」

「6人か7人?」

ロンが熱っぽく言った。

「そりゃ、悪くないよ――その巨人たち、ここに来るの?僕たちと一緒に『例のあの人』と戦うの?」

しかし、ハーマイオニーは聞き返した。

「ハグリッド、『一度は』って、どういうこと?」

ハグリッドは悲しそうにハーマイオニーを見た。

「ゴルゴマスの一味がその洞穴を襲撃した。
生き残ったやつらも、それからあとは俺たちにかかわろうとせんかった」

「じゃ……じゃ、巨人は1人も来ないの?」

ロンががっかりしたように言った。

「来ねえ」

ハグリッドは深いため息をつき、生肉を裏返して冷たいほうを顔に当てた。

「だが、俺たちはやるべきことをやった。
ダンブルドアの言葉も伝えたし、それに耳を傾けた巨人も何人かはいた。そんで、何人かはそれを憶えとるだろうと思う。
たぶんとしか言えねえが、ゴルゴマスのところにいたくねえ連中が、山から下りたら、そんで、その連中が、ダンブルドアが友好的だっちゅうことを思い出すかもしれん……その連中が来るかもしれん」

雪がすっかり窓を覆っていた。
ハリーは、ローブの膝のところがぐっしょり濡れているのに気づいた。
ファングが膝に頭を載せて、涎を垂らしていた。

「ハグリッド?」

しばらくしてハーマイオニーが静かに言った。

「んー?」

「あなたの……何か手掛かりは……そこにいる間に……耳にしたのかしら……あなたの……お母さんのことで?」

ハグリッドは開いているほうの目で、じっとハーマイオニーを見た。サクヤも彼女を見ていた。
ハーマイオニーは気が挫けたかのようだった。

「ごめんなさい……私……忘れてちょうだい――」

「死んだ」

ハグリッドがボソッと言った。

「何年も前に死んだ。連中が教えてくれた」

「まあ……私……ほんとにごめんなさい」

ハーマイオニーが消え入るような声で言った。
黙ったままのサクヤがハグリッドの腕に手を添えると、彼はがっしりした肩をすくめた。

「気にすんな」

ハグリッドは言葉少なに言った。

「あんまりよく憶えてもいねえ。いい母親じゃあなかった」

みんなもまた黙り込んだ。
ハーマイオニーが、何かしゃべってと言いたげに、落ち着かない様子でハリーとロンをちらちら見た。

「だけど、ハグリッド、どうしてそんなふうになったのか、まだ説明してくれていないよ」

ロンが、ハグリッドの血だらけの顔を指しながら言った。

「それに、どうしてこんなに帰りが遅くなったのかも」

ハリーが言った。

「シリウスが、マダム・マクシームはとっくに帰ってきたって言ってた――」

「誰に襲われたんだい?」

ロンが聞いた。

「襲われたりしてねえ!」

ハグリッドが語気を強めた。

「俺は――」

そのあとの言葉は、突然誰かが戸をドンドン叩く音に呑み込まれてしまった。
ハーマイオニーが息を呑んだ。手にしたマグが指の間を滑り、床に落ちて砕け、ファングがキャンキャン鳴いた。
5人全員が戸口の脇の窓を見つめた。
ずんぐりした背の低い人影が薄いカーテンを通して揺らめいていた。

あの女だ!

ロンが囁いた。

「この中に入って!」

ハリーは早口にそう言いながら、透明マントをつかんでサクヤとハーマイオニーにさっと被せ、ロンもテーブルを急いで回り込んで、マントの中に飛び込んだ。
4人は、塊まって部屋の隅に引っ込んだ。
ファングは狂ったように戸口に向かって吠えていた。ハグリッドはさっぱりわけがわからないという顔をしていた。

「ハグリッド、オレたちのマグを隠して!」

ハグリッドはハリーとロン、サクヤのマグをつかみ、ファングの寝るバスケットのクッションの下に押し込んだ。
ファングはいまや、戸に飛び掛かっていた。
ハグリッドは足でファングを脇に押しやり、戸を引いて開けた。



_

( 127/190 )
[prev] [next]
[back]
[しおりを挟む]



- ナノ -