The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「先を話して!」

ハリーが急き立てた。

「見つけた」

ハグリッドがズバッと言った。

「ある夜、尾根を越えたら、そこにいた。俺たちの真下に広がって。
下のほうにちっこい焚き火がいくつもあって、そんで、おっきな影だ……『山が動く』のを見ているみてえだった」

「どのぐらい大きいの?」

ロンが声をひそめて聞いた。

「6mぐれぇ」

ハグリッドがこともなげに言った。

「おっきいやつは7,8mあったかもしれん」

「何人ぐらいいたの?」

サクヤが聞いた。

「ざっと70〜80ってとこだな」

ハグリッドが答えた。

「それだけ?」

ハーマイオニーが聞いた。

「ん」

ハグリッドが悲しそうに言った。

「80人が残った。一時期はたくさんいた。世界中から何百ちゅう種族が集まったに違えねえ。
だが、何年もの間に死に絶えていった。もちろん、魔法使いが殺したのも少しはある。けんど、たいがいはお互いに殺し合ったのよ。
いまではもっと急速に絶滅しかかっとる。あいつらは、あんなふうに塊まって暮らすようにはできてねえ。
ダンブルドアは、俺たちに責任があるって言いなさる。俺たち魔法使いのせいで、あいつらは俺たちからずっと離れたとこにいって暮らさにゃならんようになった。
そうなりゃ、自衛手段で、お互いに塊まって暮らすしかねえ」

「それで」

ハリーが言った。

「巨人を見つけて、それから?」

「ああ、俺たちは朝まで待った。
暗いところで連中に忍び寄るなんて真似は、俺たちの身の安全のためにもしたくなかったからな」

ハグリッドが言った。

「朝の3時ごろ、あいつらは座ったまんまの場所で眠り込んだ。俺たちは眠るどころじゃねえ。
なにせ誰かが目を覚まして俺たちの居場所を見つけたりしねえように気をつけにゃならんかったし、それにすげえいびきでなあ。
そのせいで朝方に雪崩が起こったわ――とにかく、明るくなるとすぐ、俺たちは連中に会いに下りていった」

「素手で?」

ロンが恐れと尊敬の混じった声をあげた。

「巨人の居住地のど真ん中に、歩いていったの?」

「ダンブルドアがやり方を教えてくださった」

ハグリッドが言った。

「ガーグに貢ぎ物を持っていけ、尊敬の気持ちを表せ、そういうこった」

「貢ぎ物を、誰に持っていくだって?」

ハリーが聞いた。

「ああ、ガーグだ――かしらって意味だ」

「誰がかしらなのか、どうやってわかるの?」

ロンが聞いた。
ハグリッドがおもしろそうに鼻を鳴らした。

「わけはねえ。一番でっけえ、一番醜い、一番なまけ者だったな。
みんなが食いもんを持ってくるのを、ただ座って待っとった。死んだ山羊とか、そんなもんを。
カーカスって名だ。身の丈7,8mってとこだった。そんで、雄の象2頭分の体重だな。サイの皮みてえな皮膚で」

「なのに、そのかしらのところまで、のこのこ参上したの?」

ハーマイオニーが息を弾ませた。

「うー……参上ちゅうか、下っていったんだがな。
かしらは谷底に寝転んでいたんだ。やつらは、4つの高え山の間の深く凹んだとこの、湖のそばにいた。
そんで、カーカスは湖のすぐ傍に寝そべって、自分と女房に食いもんを持ってこいと吼えていた。俺はオリンペと山を下っていった――」

「だけど、ハグリッドたちを見つけたとき、やつらは殺そうとしなかったの?」

ロンが信じられないという声で聞いた。

「何人かはそう考えたに違えねえ」

ハグリッドが肩をすくめた。

「しかし、俺たちは、ダンブルドアに言われたとおりにやった。
つまりだな、貢ぎ物を高々と持ち上げて、ガーグだけをしっかり見て、ほかの連中は無視すること。俺たちはそのとおりにやった。
そしたら、ほかの連中はおとなしくなって、俺たちが通るのを見とった。そんで、俺たちはまっすぐカーカスの足下まで行ってお辞儀して、その前に貢ぎ物を置いた」

「巨人への貢ぎ物って……何を贈るものなの?」

純粋に気になったサクヤが聞いた。

「食べ物?」

「うんにゃ。やつは食いもんは十分手に入る」

ハグリッドが言った。

かしらに魔法を持っていったんだ。巨人は魔法が好きだ。ただ、俺たちが連中に不利な魔法を使うのが気に食わねえだけよ。
とにかく、最初の日は、かしらに『グブレイシアンの火の枝』を贈った」

ハーマイオニーとサクヤは顔を見合わせて、「うわーっ!」と小さく声をあげたが、ハリーとロンはちんぷんかんぷんだと顔をしかめた。

「何の枝――?」

「永遠の火よ」

ハーマイオニーがイライラと言った。

「2人とももう知ってるはずなのに。フリットウィック先生が授業で少なくとも2回はおっしゃったわ!」

「あー、とにかくだ」

ロンが何か言い返そうとするのを遮り、ハグリッドが急いで言った。

「ダンブルドアが小枝に魔法をかけて、永遠に燃え続けるようにしたんだが、こいつぁ、並みの魔法使いができるこっちゃねえ。
そんで、俺は、カーカスの足下の雪ん中にそいつを置いて、こう言った。
『巨人のかしらに、アルバス・ダンブルドアからの贈り物でございます。ダンブルドアがくれぐれもよろしくとのことです』」

「それで、カーカスは何て言ったの?」

ハリーが熱っぽく聞いた。

「なんも」

ハグリッドが答えた。

「英語がしゃべれねえ」

「そんな!」

「それはどうでもよかった」

ハグリッドは動じなかった。

「ダンブルドアはそういうことがあるかもしれんと警告していなさった。
カーカスは、俺たちの言葉がしゃべれる巨人を2,3人、大声で呼ぶぐれえのことはできたんで、そいつらが通訳した」

「それで、カーカスは貢ぎ物が気に入ったの?」

ロンが聞いた。

「おう、そりゃもう。
そいつがなんだかがわかったときにゃ、大騒ぎだったわ」

ハグリッドはドラゴンの生肉を裏返し、腫れ上がった眼に冷たい面を押し当てた。

「喜んだのなんの。そこで俺は言った。
『アルバス・ダンブルドアがガーグにお願い申します。明日また贈り物を持って参上したとき、使いの者と話をしてやってくだされ』」

「どうしてその日に話せなかったの?」

ハーマイオニーが聞いた。

「ダンブルドアは、俺たちがとにかくゆっくり事を運ぶのをお望みだった」

ハグリッドが答えた。

「連中に、俺たちが約束を守るっちゅうことを見せるわけだ。俺たちは明日また贈り物を持って戻ってきますってな。
で、俺たちはまた贈り物を持って戻る――いい印象を与えるわけだ、な?
そんで、連中が最初のもんを試してみる時間を与える。で、そいつがちゃんとしたもんだってわかる。で、もっとほしいと夢中にさせる。
とにかく、カーカスみてえな巨人はな――あんまり一度にいっぱい情報をやってみろ、面倒だっちゅうんで、こっちが整理されっちまう。
そんで、俺たちはお辞儀して引き下がり、その夜を過ごす手ごろな洞窟を見つけて、そんで次の朝戻っていったところ、カーカスがもう座って、うずうずして待っとったわ」

「それで、カーカスと話したの?」

「おう、そうだ。まず、立派な戦闘用の兜を贈った――小鬼の作ったやつで、ほれ、絶対壊れねえ――で、俺たちも座って、そんで、話した」

「カーカスは何と言ったの?」

「あんまりなんも」

ハグリッドが言った。

「だいたいが聞いてたな。だが、いい感じだった。カーカスはダンブルドアのことを聞いたことがあってな。
ダンブルドアがイギリスで最後の生き残りの巨人を殺すことに反対したっちゅうことを聞いてたんで、ダンブルドアが何を言いたいのか、かなり興味を持ったみてえだった。
それに、ほかにも数人、とくに少し英語がわかる連中もな。そいつらも周りに集まって耳を傾けた。
その日、帰るころには、俺たちは希望を持った。明日また贈り物を持ってくるからと約束した」



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