The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




早朝も早朝、サクヤ・フェリックスはうっそりと目を覚ました。


夜が明けているはずなのに、部屋の中が暗い。あまりに暗い。どこにいるかわからなくなって、とてつもない不安に襲われて急に胸が忙しくなったが、それは一瞬で過ぎた。


だんだんはっきりしてきた、目の前にある誰かの背中。柔らかな栗色の髪。少し伸びた、自身の茶色い前髪。新しく、愛おしい匂いに包まれたシーツ。自分はもう蹲ってはいない。ここは暗い、ひとりぼっちの場所じゃない。


ゆっくりと静かに体を起こすと、顔までかかっていたシーツがベッドに落ちる。額にはじっとりと汗が滲んでいた。部屋は少し蒸し暑く、それなりに湿気が漂っている。


ふと白んでいる窓の外を見て、湿気の正体に気が付いた。遠くに聞こえるざあざあとした雨音。ホグワーツ自慢の色鮮やかなステンドグラスが嵌められた大きな窓には、幾筋もの水滴が流れ落ちていた。




「長雨の下で」







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