The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




バーノン叔父さんは真っ青な妻の顔を見て、ハリーを見た。
そしてズボンをずり上げた。
叔父さんの身体が膨れ上がってきたかのようだった。
でっかい赤紫色の顔が、見る見る巨大になってきた。

「さあ、これで決まりだ」

おじさんが言った。
身体が膨れ上がったので、シャツの前がきつくなっていた。

小僧!この家を出ていってもらうぞ!

「えっ?」

「聞こえたろう――出ていけ!

バーノン叔父さんが大声を出した。
ペチュニア叔母さんやダドリーでさえ飛び上がった。

出ていけ!出ていけ!とっくの昔にそうすべきだった!
ふくろうはここを休息所扱い、デザートは破裂するわ、客間の半分は壊されるわ、ダドリーに尻尾だわ、マージは膨らんで天井をポンポンするわ、その上空飛ぶフォード・アングリアだ――出ていけ!出ていけ!
もうおしまいだ!おまえのことはすべて終わりだ!狂ったやつがおまえを追けているなら、ここに置いてはおけん。
おまえのせいで妻と息子を危険に曝させはせんぞ。
もうおまえに面倒を持ち込ませはせん。
おまえが碌でなしの両親と同じ道を辿るのなら、わしはもうたくさんだ!出ていけ!

ハリーはその場に根が生えたように立っていた。
魔法省の手紙、ウィーズリーおじさんとシリウスからの手紙が、みんなハリーの左手の中で潰れていた。

何があろうとも、決して家を離れてはいけない。
叔父さん、叔母さんの家を離れないよう。


「聞こえたな!」

バーノン叔父さんが今度はのしかかってきた。
巨大な赤紫色の顔がハリーの顔にぐんと接近し、唾が顔に降りかかるのを感じた。

「行けばいいだろう!30分前はあんなに出ていきたかったおまえだ!
大賛成だ!出ていけ!二度とこの家の敷居を跨ぐな!
そもそも、なんでわしらがおまえを手元に置いたのかわからん。
マージの言うとおりだった。孤児院に入れるべきだった。わしらがお人好しすぎた。
あれをおまえの中から叩き出してやれると思った。おまえをまともにしてやれると思った。
しかし、おまえは根っから腐っていた。もうたくさんだ。――ふくろうだ!

5番目のふくろうが煙突を急降下してきて、勢い余って床にぶつかり、大声でギーギー鳴きながら再び飛び上がった。
ハリーは手を上げて、真っ赤な封筒に入った手紙を取ろうとした。
しかし、ふくろうはハリーの頭上をまっすぐ飛び越し、ペチュニア叔母さんのほうに一直線に向かった。
叔母さんは悲鳴をあげ、両腕で顔を覆って身をかわした。
ふくろうは真っ赤な封筒を叔母さんの頭に落とし、方向転換してそのまま煙突に戻っていった。
ハリーは手紙を拾おうと飛びついた。しかし、ペチュニア叔母さんのほうが早かった。

「開けたきゃ開けてもいいよ」

ハリーが言った。

「でもどうせ中身は僕にも聞こえるんだ。それ、『吼えメール』だよ」

「ペチュニア、手を離すんだ!」

バーノン叔父さんが喚いた。

「触るな。危険かもしれん!」

「私宛だわ」

ペチュニア叔母さんの声が震えていた。

宛なのよ、バーノン。
ほら、プリベット通り4番地、キッチン、ペチュニア・ダーズリー様――」

叔母さんは真っ青になって息を止めた。
真っ赤な封筒が燻りはじめたのだ。

「開けて!」

ハリーが促した。

「すませてしまうんだ!どうせ同じことなんだから」

「いやよ」

ペチュニア叔母さんの手がぶるぶる震えている。
叔母さんはどこか逃げ道はないかと、キッチン中をキョロキョロ見回したが、もう手遅れだった――封筒が燃え上がった。
ペチュニア叔母さんは悲鳴をあげ、封筒を取り落とした。

テーブルの上で燃えている手紙から、恐ろしい声が流れてキッチン中広がり、狭い部屋の中で反響した。

「私の最後のあれを思い出せ。ペチュニア」

ペチュニア叔母さんは気絶するかのように見えた。
両手で顔を覆い、ダドリーのそばの椅子に沈むように座り込んだ。
沈黙の中で、封筒の残骸が燻ぶり、灰になっていった。

「なんだ、これは?」

バーノン叔父さんが嗄れ声で言った。

「何のことか――わしにはとんと――ペチュニア?」

ペチュニア叔母さんは何も言わない。
ダドリーは口をポカンと開け、バカ面で母親を見つめていた。
沈黙が恐ろしいほど張りつめた。
ハリーは呆気に取られて、叔母さんを見ていた。
頭はズキズキと割れんばかりだった。

「ペチュニアや?」

バーノン叔父さんがおどおどと声をかけた。

「ペ、ペチュニア?」

叔母さんが顔を上げた。まだぶるぶる震えている。
叔母さんはごくりと生唾を飲んだ。

「この子――この子は、バーノン、ここに置かないといけません」

叔母さんが弱々しく言った。

「な――なんと?」

「ここに置くのです」

叔母さんはハリーの顔を見ないで言った。叔母さんが再び立ち上がった。

「こいつは……しかしペチュニア……」

「私たちがこの子を放り出したとなれば、ご近所の噂になりますわ」

叔母さんは、まだ青い顔をしていたが、いつもの突っけんどんで、ぶっきらぼうな言い方を急速に取り戻していた。

「面倒なことを聞いてきますよ。この子がどこに行ったか知りたがるでしょう。
この子を家に置いておくしかありません」

バーノン叔父さんは中古のタイヤのように萎んでいった。

「しかし、ペチュニアや――」

ペチュニア叔母さんは叔父さんを無視してハリーのほうを向いた。

「おまえは自分の部屋にいなさい」

と叔母さんが言った。

「外に出てはいけない。さあ、寝なさい」

ハリーは動かなかった。

「『吼えメール』は誰からだったの?」

「質問はしない」

ペチュニア叔母さんがぴしゃりと言った。

「叔母さんは魔法使いと接触してるの?」

「寝なさいと言ったでしょう!」

「どういう意味なの?最後の何を思い出せって?」

「寝なさい!」

「どうして――?」

叔母さんの言うことが聞こえないの!さあ、寝なさい!




>>To be continued

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