The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「アンブリッジはきっと、ハリーの手紙を検閲してる。信じたくなかったけど、これではっきりした」

「アンブリッジがヘドウィグを襲ったと思うんだね?」

ハリーは怒りが突き上げてきた。

「間違いない」

サクヤが深刻な顔で言った。

「っと、おい、カエルが逃げるぞ」

ウシガエルが、うまく逃げられそうだぞと、テーブルの端をめがけてピョンピョン跳んでいた。
ハリーは杖をカエルに向けた――「アクシオ!来い!」――すると、カエルはぶすっとしてハリーの手に吸い寄せられた。

「呪文学」は勝手なおしゃべりを楽しむには、常にもってこいの授業だった。
だいたいは人や物がさかんに動いているので、盗み聞きされる危険性はほとんどなかった。
今日の教室は、ウシガエルのゲロゲロとカラスのカーカーで満ち溢れ、しかも土砂降りの雨が教室の窓ガラスを激しく叩いて、ガタガタいわせていた。
ハリー、サクヤ、ロン、ハーマイオニーが、アンブリッジがシリウスを危ういところまで追い詰めたことを小声で話し合っていても、誰にも気づかれなかった。

「フィルチが、糞爆弾の注文のことであなたを咎めてから、私、ずっとこうなるんじゃないかって思ってたのよ。
だって、まるで見え透いた嘘なんだもの」

ハーマイオニーが囁いた。

「つまり、あなたの手紙を読んでしまえば、糞爆弾を注文してないことは明白になったはずだから、あなたが問題になることはなかったわけよ――すぐにばれる冗談でしょ?
でも、それから私、考えたの。
誰かが、あなたの手紙を読む口実がほしかったんだとしたら?
それなら、アンブリッジにとっては完璧な方法よ――フィルチに告げ口して、汚れ仕事はフィルチにやらせ、手紙を没収させる。
それから、フィルチから取り上げる方法を見つけるか、それを見せなさいと要求する――フィルチは異議を申し立てない。生徒の権利のためにがんばったことなんかないものね?
ハリー、あなた、カエルを潰しかけてるわよ」

ハリーは下を見た。
本当にウシガエルをきつく握りすぎて、カエルの目が飛び出していた。
ハリーは慌ててカエルを机の上に戻した。

「昨夜は、ほんとに、ほんとに危機一髪だった」

ハーマイオニーが言った。

「あれだけ追い詰めたことを、アンブリッジ自身が知っているのかしら。『シレンシオ、黙れ』」

ハーマイオニーが「黙らせ呪文」の練習に使ったウシガエルは、「ゲロゲ」までで急に声が出なくなり、恨めしげにハーマイオニーに目を剥いた。

「もしアンブリッジがスナッフルズを捕まえていたら――」

ハーマイオニーの言おうとしたことをハリーが引き取って言った。

「――たぶん今朝、アズカバンに送り返されていただろうな」

ハリーはあまり気持ちを集中せずに杖を振った。
ウシガエルが膨れ上がって緑の風船のようになり、ピーピーと高い声を出した。

「シレンシオ!黙れ!」

ハーマイオニーが杖をハリーのカエルに向け、急いで唱えた。
カエルは2人の前で、声をあげずに萎んだ。

「とにかく、シリウスは、もう二度とやってはいけない。それだけよ。
ただ、どうやってシリウスにそれを知らせたらいいかわからない。ふくろうは送れないし」

「もう危険は冒さないと思うけど」

ロンが言った。

「それほどバカじゃない。
あの女に危うく捕まりかけたって、わかってるさ。シレンシオ

ロンの前の大きな醜いワタリガラスが嘲るようにカーと鳴いた。

黙れ!シレンシオ!

カラスはますますやかましく鳴いた。

「あのごつい手に、ゴミでも投げつけてやればよかったな、紙くずを燃やそうとしたとかなんとか言って――シレンシオ」

サクヤが恨みがましく言うと、目の前で大人しく寛いでいた彼女のワタリガラスが目をぱちくりとさせた。
そもそも鳴いていなかったので、呪文の効果があったのかは分からなかった。

「ロン、あなたの杖の動かし方が問題よ」

批判的な目でロンを観察しながら、ハーマイオニーが言った。

「そんなふうに振るんじゃなくて、鋭く突くって感じなの」

「ワタリガラスはカエルより難しいんだ。
ほら、サクヤのだってもしかしたら失敗してるかもしれないぜ」

ロンが癇に障ったように言った。
しかし、ロンがサクヤのカラスをつついても、彼女のは身じろぐだけでやはり静かだった。

「いいわよ。取り替えましょ」

ハーマイオニーがロンのカラスを捕まえ、自分の太ったウシガエルと交換しながら言った。

「シレンシオ!」

ワタリガラスは相変わらず鋭い嘴を開けたり閉じたりしていたが、もう音は出てこなかった。

「大変よろしい、ミス・グレンジャー!」

フリットウィック先生のキーキー声で、ハリー、サクヤ、ロン、ハーマイオニーの4人とも飛び上がった。

「さあ、ミスター・ウィーズリー、やってごらん」

「な――?あ――、はい」

ロンは慌てふためいた。

「えー――シレンシオ!」

ロンの突きが強すぎて、ウシガエルの片目を突いてしまい、カエルは耳を劈く声でグワッグワッと鳴きながらテーブルから飛び降りた。
ハリーとロンだけが「黙らせ呪文」の追加練習をするという宿題を出されたが、2人ともまたかと思っただけだった。

外は土砂降りなので、生徒たちは休憩時間も城内に留まることを許された。
4人は2階の混み合ったやかましい教室に、空いている席を見つけた。
ピーブズがシャンデリア近くに眠そうにぷかぷか浮いて、時々インクつぶてを誰かの頭に吹きつけていた。
4人が座るか座らないうちに、アンジェリーナが、無駄話に忙しい生徒たちを掻き分けてやって来た。

「許可をもらったよ!」

アンジェリーナが言った。

「クィディッチ・チームを再編成できる!」

やった!

サクヤとロン、ハリーが同時に叫んだ。

「うん」

アンジェリーナがにっこりした。

「マクゴナガルのところに行ったんだ。たぶん、マクゴナガルはダンブルドアに嘆願したんだと思う。
とにかく、アンブリッジが折れた。ざまみろ!
だから、今夜19時に競技場に来てほしい。ロスした時間を取り戻さなくっちゃ。
最初の試合まで、3週間しかないってこと、自覚してる?」

アンジェリーナは、生徒の間をすり抜けるように歩き去りながら、ピーブズのインクつぶてを危うくかわし(代わりにそれは、そばにいた1年生に命中した)、姿が見えなくなった。



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