The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




大広間に入ったとたん、アンブリッジの掲示がグリフィンドールだけに貼られたのではないことがはっきりした。
それぞれのテーブルをみんな忙しく往き来し、掲示のことを相談し合っていて、おしゃべりが異常に緊張し、大広間の動きはいつもより激しかった。
ハリー、ロン、サクヤ、ハーマイオニーが席に着くや否や、ネビル、ディーン、フレッド、ジョージ、ジニーが待ってましたとばかりにやって来た。

「読んだ?」

「あいつが知ってると思うか?」

「どうする?」

みんながハリーを見ていた。
ハリーはあたりを見回し、近くに誰も先生がいないことを確かめた。

「とにかく、やるさ。もちろんだ」

ハリーは静かに言った。

「そうくると思った」

ジョージがにっこりしてハリーの腕をポンと叩いた。

「監督生さんたちもかい?」

フレッドがロンとハーマイオニーを冷やかすように見た。

「もちろんよ」

ハーマイオニーが落ち着きはらって言った。

「次からはサクヤもいるんだよね?」

ネビルが不安げに訊ねた。

「当たり前」

サクヤが不敵に微笑んだ。

「アーニーとハンナ・アボットが来たぞ」

ロンが振り返りながら言った。

さあ、レイブンクローのやつらとスミス……誰も痘痕っぽくないなあ」

ハーマイオニーがはっとしたような顔をした。

「痘痕はどうでもいいわ。
あの人たち、おバカさんね。いまここに来たらだめじゃない。本当に怪しまれちゃうわ――座ってよ!」

ハーマイオニーがアーニーとハンナに必死で身振り手振りし、ハッフルパフのテーブルに戻るようにと口の形だけで伝えた。

「あとで!は――な――し――は――あと!

「私、マイケルに言ってくる」

ジニーが焦れったそうにベンチをくるりと跨いだ。

「まったくバカなんだから……」

ジニーは、レイブンクローのテーブルに急いだ。ハリーはジニーを目で追った。
チョウがそう遠くないところに座っていて、「ホッグズ・ヘッド」に連れてきた巻き毛の友達に話しかけている。
アンブリッジの告示で、チョウが恐れをなして、もう会合には来ないだろうか?
告示の本格的な反響は、大広間を出て「魔法史」の授業に向かうときにやって来た。

「ハリー!サクヤ!ロン!」

アンジェリーナだった。
完全に取り乱して、3人のほうに大急ぎでやって来る。

「大丈夫だよ」

アンジェリーナがハリーの声の届くところまで来るのを待って、ハリーが静かに言った。

「それでも僕たちやるから――」

「これにクィディッチも含まれてることを知ってた?」

アンジェリーナがハリーの言葉を遮って言った。

「グリフィンドール・チームを再編成する許可を申請しないといけない」

えーっ?

ハリーが声をあげた。

「それも狙いのひとつかよ!」

サクヤが天を仰いだ。

「そりゃないぜ」

ロンが愕然とした。

「掲示を読んだだろ?チームも含まれてる!
だから、いいかい、ハリー……特に、サクヤも……もう1回だけ言うよ……お願い、お願いだから、アンブリッジに二度と癇癪を起こさないで。挑発もなし。
じゃないと、あいつ、もう私たちにプレイさせないかもしれない!」

「わかった、わかったよ」

アンジェリーナがほとんど泣きそうなのを見て、ハリーが言った。

「心配しないで。行儀よくするから……」

「オレのニンバス2000に誓って、そうするよ」

ことの重大さを十分に理解したサクヤが胸に手を当てた。

「アンブリッジ、きっと『魔法史』にいるぜ……」

ビンズ先生の授業に向かいながら、ロンが暗い声で言った。

「まだビンズの査察をしてないしな……絶対あそこに来てるぜ……」

ロンの勘は外れた。教室に入ると、そこにはビンズ先生しかいなかった。
いつものように椅子から2,3cm上に浮かんで、巨人の戦争に関する死にそうに単調な授業を続ける準備をしていた。
ハリーは講義を聞こうともしなかった。
ハーマイオニーがしょっちゅう睨んだり小突いたりするのを無視して、羊皮紙に落書きしていたが、ことさらに痛い1発を脇腹に突っ込まれ、怒って顔を上げた。

「なんだよ?」

ハーマイオニーが窓を指差し、ハリーが目をやった。
ヘドウィグが窓から張り出した狭い棚に止まり、分厚い窓ガラスを通してじっとハリーを見ていた。脚に手紙が結んである。
ハリーはわけがわからなかった。
朝食は終わったばかりだ。どうしていつものように、そのときに手紙を配達しなかったんだろう?
他のクラスメートも大勢、ヘドウィグを指差し合っていた。

「ああ、私、あのふくろう大好き。とってもきれいよね」

ラベンダーがため息混じりにパーバティに言うのが聞こえた。
ハリーはちらりとビンズ先生を見たが、ノートの棒読みを続けている。
クラスの注意が、いつもよりもっと自分から離れているのもまったく気づかず、平静そのものだ。
ハリーはこっそり席を立って、屈み込み、急いで横に移動して窓際に行き、留め金をずらして、そろりそろりと窓を開けた。

ハリーは、ヘドウィグが脚を突き出して手紙を外してもらい、それからふくろう小屋に飛んでいくものと思った。
ところが、窓の隙間がある程度広くなると、ヘドウィグは悲しげにホーと鳴きながら、チョンと中に入ってきた。
ハリーはビンズ先生のほうを気にしてちらちら見ながら窓を閉め、再び身を屈めて、ヘドウィグを肩に載せ、急いで席に戻った。
席に着くと、ヘドウィグを膝に移し、脚から手紙を外しにかかった。

「……ヘドウィグ、大丈夫か?」

一番最初に気がついたのはサクヤだった。
ハリーはその声で初めて、ヘドウィグの羽が奇妙に逆立っているのに気づいた。
変な方向に折れているのもある。しかも片方の翼がおかしな角度に伸びている。

「怪我してる!」

ハリーはヘドウィグの上に覆い被さるように頭を下げて呟いた。
ハーマイオニーとロンも寄り掛かるようにして近寄った。ハーマイオニーは羽根ペンさえ下に置いた。

「ほら――翼がなんか変だ――」

ヘドウィグは小刻みに震えていた。
ハリーが翼に触れようとすると、小さく飛び上がり、全身の羽毛を逆立てて、まるで身体を膨らませたようになり、ハリーを恨めしげに見つめた。

「ビンズ先生」

ハリーが大声を出したので、クラス中がハリーのほうを見た。

「気分が悪いんです」

ピンズ先生は、ノートから目を上げ、いつものことだが、目の前にたくさんの生徒がいるのを見て驚いたような顔をした。

「気分が悪い?」

先生がぼんやりと繰り返した。

「とっても悪いんです」

ハリーはきっぱりそう言い、ヘドウィグを背中に隠して立ち上がった。

「僕、医務室に行かないといけないと思います」

「そう」

ビンズ先生は、明らかに不意打ちを食らった顔だった。

「そう……そうね。医務室……まあ、では、行きなさい。パーキンズ……」




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