The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「それじゃ、次に、どこで集まるかだけど……。
まさに今、ホグワーツに残っているサクヤが適切な練習場所がないか探してくれているところよ。
ここに集まれないのならせめてこれくらいはしたいって言ってたわ」

そこでハリーはピンときてロンを見た。ロンも気がついたようだ。
グリフィンドール塔で交わしていた耳打ちはこのことだったのだ。

「……でもまさか、25人も集まっただなんて思ってないでしょうから、見つけておいてくれる場所が狭すぎる場合、もしかしたら見つけられない場合の可能性も含め、ここでもある程度の候補を挙げておきたいと思います」

ハーマイオニーはそう言って周囲を見渡したが、集会の頻度なんかより、こっちのほうがむしろ難題で、みんな黙り込んだ。

「図書館は?」

しばらくしてケイティ・ベルが言った。

「僕たちが図書館で呪いなんかかけてたら、マダム・ピンスがあんまり喜ばないんじゃないかな」

ハリーが言った。

「使ってない教室はどうだ?」

ディーンが言った。

「うん」

ロンが言った。

「マクゴナガルが自分の教室を使わせてくれるかもな。ハリーが三校対抗試合の練習をしたときにそうした」

しかし、マクゴナガルが今回はそんなに物わかりがよいわけがないと、ハリーにはわかっていた。
ハーマイオニーが勉強会や宿題会は問題ないと言っていたが、この集まりはそれよりずっと反抗的なものとみなされるだろうと、ハリーははっきり感じていた。

「いいわ、じゃ、私たちでどこか探しておくわ――もしかしたらマダム・ピンスやマクゴナガル先生も許可をしてくださるかもしれないし――」

期待はしていなさそうな声で、ハーマイオニーが言った。

「最初の集まりの日時と場所が決まったら、みんなに伝言を回すわ。
次からはホグワーツ敷地内での会合になるし、サクヤも参加できるはずよ」

ハーマイオニーは鞄を探って羊皮紙と羽根ペンを取り出し、それからちょっとためらった。
何かを言おうとして、意を決しているかのようだった。

「私――私、考えたんだけど、ここに全員名前を書いてほしいの、誰が来たかわかるように。それと」

ハーマイオニーは大きく息を吸い込んだ。

「私たちのしていることを言いふらさないと、全員が約束するべきだわ。
名前を書けば、私たちの考えていることを、アンブリッジにも誰にも知らせないと約束したことになります。
ここに来られなかったサクヤも、この場に誰が来ようとも、その人たちと『防衛術』を一緒に学んでいきたい気持ちの証明として、もう書いてくれてあるの。
あの子の誠意が、これでみんなに伝わると願っています」

ハーマイオニーの言う通り、羊皮紙の一番上には本人の字で"サクヤ・フェリックス"と書いてあった。
城を出る前に、あらかじめ書いてもらっておいたらしい。
それから、ハリー、ロン、ハーマイオニーが名前を書くと、次にフレッドが羊皮紙に手を伸ばし、嬉々として名前を書いた。
しかし、何人かは、リストに名前を連ねることにあまり乗り気ではないことに、ハリーは気づいた。

「えーと……」

ジョージが渡そうとした羊皮紙を受け取らずに、ザカリアスがのろのろと言った。

「まあ……アーニーがきっと、いつ集まるかを僕に教えてくれるから」

しかし、アーニーも名前を書くことをかなりためらっている様子だ。
ハーマイオニーはアーニーに向かって眉を吊り上げた。

「僕は――あの、僕たち、監督生だ

アーニーが苦し紛れに言った。

「だから、もしこのリストがばれたら……つまり、ほら……君も言ってたけど、もしアンブリッジに見つかったら――」

「このグループは、今年僕たちがやることの中では一番大切だって、君、さっき言ったろう」

ハリーが念を押した。

「僕――うん」

アーニーが言った。

「ああ、僕はそう信じてる。ただ――」

「アーニー、私がこのリストをそのへんに置きっ放しにするとでも思ってるの?」

ハーマイオニーが苛立った。

「いや、違う。もちろん、違うさ」

アーニーは少し安心したようだった。

「僕――うん、もちろん名前を書くよ」

アーニーのあとは誰も異議を唱えなかった。
ただ、チョウの友達が、名前を書くとき、少し恨みがましい顔をチョウに向けたのを、ハリーは見た。
最後の1人が――ザカリアスだった――署名すると、ハーマイオニーは羊皮紙を回収し、慎重に自分の鞄に入れた。
グループ全体に奇妙な感覚が流れた。
まるで、一種の盟約を結んだかのようだった。

「さあ、こうしちゃいられない」

フレッドが威勢よくそう言うと立ち上がった。

「ジョージやリーと一緒に、ちょっとわけありの買物をしないといけないんでね。またあとでな」

他の全員もそれぞればらばらに立ち去った。
チョウは出ていく前に、鞄の留め金を掛けるのにやたらと手間取っていた。長い黒髪が顔を覆うようにかかり、ゆらゆら揺れた。
しかし、チョウの友達が腕組みをしてそばに立ち、舌を鳴らしたので、チョウは友達と一緒に出ていくしかなかった。
友達に急かされてドアを出るとき、チョウは振り返ってハリーに手を振った。

「まあ、なかなかうまくいったわね」

数分後、ハリー、ロンと一緒に「ホッグズ・ヘッド」を出て、眩しい陽の光の中に戻ったとき、ハーマイオニーが満足げに言った。
ハリーとロンはまだバタービールの瓶を手にしていた。

「あのザカリアスの野郎、癪なやつだ」

遠くに小さく姿が見えるザカリアス・スミスの背中を睨みつけながら、ロンが言った。

「私もあの人はあんまり好きじゃない」

ハーマイオニーが言った。

「だけど、あの人、私がハッフルパフのテーブルでアーニーとハンナに話をしているのをたまたまそばで聞いていて、とっても来たそうにしたの。だから、しょうがないでしょ?
でも、正直、人数が多いに越したことはないわ――たとえば、マイケル・コーナーとか、その友達なんかは、マイケルがジニーと付き合っていなかったら、来なかったでしょうしね――」

ロンはバタービールの最後のひと口を飲み干すところだったが、咽せて、ローブの胸にビールをブーッと吹いた。

「あいつが、なんだって?

ロンはカンカンになって喚き散らした。
両耳がまるでカールした生の牛肉のようだった。

「ジニーがつき合ってるって――妹がデートしてるって――なんだって?マイケル・コーナーと?」

「あら、だからマイケルも友達と一緒に来たのよ。
きっと――まあ、あの人たちが防衛術を学びたがっているのももちろんだけど、でもジニーがマイケルに事情を話さなかったら――」

「いつからなんだ――ジニーはいつから――?」

「クリスマス・ダンスパーティーで出会って、先学期の終わりごろに付き合いはじめたわ」

ハーマイオニーは落ち着きはらって言った。
3人はハイストリート通りに出ていた。
ハーマイオニーは「スクリベンシャフト羽根ペン専門店」の前で立ち止まった。
ショーウィンドウに、雉羽根のペンがスマートに並べられていた。

「んー……私、新しい羽根ペンが必要かも」

ハーマイオニーが店に入り、ハリーとロンもあとに続いた。

「マイケル・コーナーって、どっちのやつだった?」

ロンが怒り狂って問い詰めた。

「髪の黒いほうよ」

ハーマイオニーが言った。

「気に食わないやつだった」

間髪を容れずロンが言った。

「あら、驚いたわ」

ハーマイオニーが低い声で言った。

「だけど」

ロンは、ハーマイオニーが銅の壷に入った羽根ペンを眺めて回るあとから、くっついて回った。

「ジニーはハリーが好きだと思ってた!」

ハーマイオニーは哀れむような目でロンを見て、首を振った。

「ジニーはハリーが好きだったわ。だけど、もうずいぶん前に諦めたの。
ハリー、あなたのこと好きじゃないってわけではないのよ、もちろん」

ハーマイオニーは、黒と金色の長い羽根ペンを品定めしながら、ハリーに気遣うようにつけ加えた。
ハリーはチョウが別れ際に手を振ったことで頭がいっぱいで、この話題には、怒りで身を震わせているロンほど関心がなかった。
しかし、それまでは気づかなかったことに、突然気づいた。

「だから僕に話しかけるようになったんだね?」

ハリーがハーマイオニーに聞いた。

「ジニーは、これまで僕の前では口をきかなかったんだ」

「そうよ」

ハーマイオニーが言った。

「うん、私、これを買おうっと……サクヤにも何か買っていってあげましょう……」

ハーマイオニーはカウンターで30シックルと4クヌートを支払った。
ロンはまだしつこくハーマイオニーの後ろにくっついていた。

「ロン」

振り返った拍子にすぐ後ろにいたロンの足を踏んづけながら、ハーマイオニーが厳しい声で言った。

「これだからジニーは、マイケルと付き合ってることを、あなたに言わなかったのよ。
あなたが気を悪くするって、ジニーにはわかってたの。お願いだからくどくどお説教するんじゃないわよ」

「どういう意味だい?誰が気を悪くするって?僕、何もくどくどなんか……」

ロンは通りを歩いている間中、低い声でぶつくさ言い続けた。
ロンがマイケル・コーナーをブツブツ呪っている間、ハーマイオニーはハリーに向かって、しょうがないわねという目つきをし、低い声で言った。

「マイケルとジニーと言えば……あなたとチョウはどうなの?」

「何が?」

ハリーが慌てて言った。
まるで煮立った湯が急に胸を突き上げてくるようだった。寒さの中で顔がじんじん火照った――そんなに見え見えだったのだろうか?

「だって」

ハーマイオニーが微笑んだ。

「チョウったら、あなたのこと見つめっぱなしだったじゃない?」

ホグズミードの村がこんなに美しいとは、ハリーはいままで一度も気づかなかった。




>>To be continued

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