The ounder of rphan X 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




「まあね、先週ほどひどくはなかったわね?」

地下牢教室を出て階段を上り、玄関ホールを横切って昼食に向かいながらハーマイオニーがサクヤに言った。

「それに、宿題もそれほど悪い点じゃなかったし。ね?」

ロンとハリーにも話しかけていたのに、2人とも黙っていたので、ハーマイオニーが追い打ちをかけた。

「つまり、まあまあの点よ。最高点は期待してなかったわ。OWL基準で採点したのだったらそれは無理よ。
でも、いまの時点で合格点なら、私たちかなり見込みがあると思わない?」

サクヤがにっこり頷いた。今まで以上に真剣に取り組み、その結果をしっかり出せたことが純粋に嬉しかったらしい。
しかし、ハリーの喉からはどっちつかずの音が出ただけだった。

「もちろん、これから試験までの間にいろいろなことがあるでしょうし、成績をよくする時間はたくさんあるわ。
でも、いまの時点での成績は一種の基準線でしょ?そこから積み上げていけるし……」

4人は一緒にグリフィンドールのテーブルに着いた。

「そりゃ、もし『O』を取ってたら、私、ぞくぞくしたでしょうけど……」

「ハーマイオニー」

ロンが声を尖らせた。

「僕たちの点が知りたいんだったら、そう言えよ」

「そんな――そんなつもりじゃ――でも、教えたいなら――」

「僕は『P』さ」

ロンがスープを取り分けながら言った。

「満足かい?」

「そりゃ、何にも恥じることないぜ」

フレッドがジョージ、リー・ジョーダンと連れ立って現れ、ハリーの右側に座った。

「『P』なら立派なもんだ」

「でも」

ハーマイオニーが言った。

「『P』って、たしか……」

「『良くない(Poor)』、うん」

リー・ジョーダンが言った。

「それでも『D』よりはいいよな?『どん底(Dreadful)』よりは?」

ハリーは顔が熱くなるのを感じて、ロールパンが詰まって咽せたふりをした。
ようやく顔を上げたとき、残念ながらハーマイオニーはまだOWL採点の話の真っ最中だった。
サクヤも一緒になって興味津々に話を聞いている。

「えーっと、つまり最高点は『O』の『大いによろしい(Outstanding)』で――」

サクヤが言った。

「次は『A』?」

ハーマイオニーが続けた。

「いや、『E』さ」

ジョージがすぐに訂正した。

「『E』は『期待以上(Exceeds Expectation)』。
俺なんか、フレッドと俺は全科目で『E』をもらうべきだったと、ずっとそう思ってる。
だって、俺たちゃ、試験を受けたこと自体『期待以上』だったものな」

みんなが笑ったが、ハーマイオニーだけはせっせと聞き続けた。

「じゃ、『E』の次が『A』で、『まあまあ(Acceptable)』。
それが最低合格点の『可』なのね?」

「そっ」

フレッドはロールパンを1個まるまるスープに浸し、それを口に運んで丸呑みにした。

「その下に『良くない』の『P』が来て――」

ロンは万歳の格好をして茶化した。

「そして『最低』の『D』が来る」

「どっこい『T』を忘れるな」

ジョージが言った。

「『T』?」

ハーマイオニーがぞっとしたように聞いた。

「『D』より下があるの?いったい何なの?『T』って?」

「『トロール(Trawl)』」

ジョージが即座に答えた。
ハリーはまた笑ったが、ジョージが冗談を言っているのかどうかハリーにはわからなかった。
OWLの全科目で「T」を取ったのを、ハーマイオニーに隠そうとしている自分の姿を想像し、これからはもっと勉強しようとハリーはその場で決心した。

「君たちはもう、授業査察を受けたか?」

フレッドが聞いた。

「まだよ」

ハーマイオニーがすぐに反応した。

「受けたの?」

「たったいま、昼食の前」

ジョージが言った。

「『呪文学』さ」

「どうだった?」

ハリーとサクヤ、ハーマイオニーが同時に聞いた。
フレッドが肩をすくめた。

「大したことはなかった。
アンブリッジが隅のほうでこそこそ、クリップボードにメモを取ってたな。
フリットウィックのことだから、あいつを客扱いして全然気にしてなかった。
アンブリッジもあんまり何も言わなかったな。アリシアに2つ3つ質問して、授業はいつもどんなふうかと聞いた。アリシアはとってもいいと答えた。それだけだ」

「フリットウィック爺さんが悪い点をもらうなんて考えられないよ」

ジョージが言った。

「生徒全員がちゃんと試験にパスするようにしてくれる先生だからな」

「午後は誰の授業だ?」

フレッドがハリーに聞いた。

「トレローニー――」

「そりゃ、紛れもない『T』だな」

サクヤがミルクティーを吹き出した。

「それに、アンブリッジ自身の授業もだ」

「さあ、いい子にして、今日はアンブリッジに腹を立てるんじゃないぞ」

ジョージが言った。

「君たち2人がまたクィディッチの練習に出られないとなったら、アンジェリーナがぶっち切れるからな」



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