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「これが…オレの始解…!


…あんまり変わってない…?」

強いて言えば
刃の部分がちょっと長くなって、
全体が淡い光を帯びてる事くらい…

「おい鷹楼丸!
コレちゃんと始解出来たって言えるのか!?」

【ああ】

『ああ』って…。

「…なぁ鷹楼丸の始解で、
何がどうなるのか教えてくれね…?」

【分からんのであれば致し方ないな…
…鷹楼丸の能力は、"光の屈折"だ】

「屈折…?」

【そう、アンタの身体を光の屈折によって消す能力。
仕方は、消える"イメージ"だ。"イメージ"すれば出来る。】

やっぱ"イメージ"なのね。

「確かに、
いきなり消えられちゃスキぐらい出来るわな」

【そういうことだ】

その言葉のあとは、しばらく沈黙が続いた。
オレはジッと鷹楼丸を見つめ、
鷹楼丸も何も言わなかった。

「─具象化、してくれ…」

その沈黙を破って、オレは言った。

【!!
咲矢、そこまで急速に始解と卍解、
両方の力を手に入れたらアンタの身が持たねぇ…!】

「ああ、それはオレも分かってるから流石にしねぇよ。

ただ…、オレには刀で戦った経験が無ぇんだ…。
そうなれば、いざ実戦となったら経験の差で負けちまう…!!
今日1日しか時間が無ぇんだ!
鷹楼丸、オレを強くしてくれ!!!」

【─我が主がそう言うのならば、俺は従うまでだな】

ピカ─
黒髪黒目の背の高い青年が咲矢の前に現れた。

「それでは、お手合わせ願う、咲矢」

「おう!」



-浦原商店一階-

「咲矢の奴…大丈夫かのう…?」

「珍しいッスね〜
夜一サンが他人の心配だなんて
何かあの子とあったんスか?」

「いやな、あ奴から"何か"を感じるんじゃ…

その"何か"は人に苦痛を与えない代物らしく、
少なくとも儂はそれが嫌ではないのじゃ…不思議なもんじゃよ」

それを言った夜一の顔はとても穏やかだった。

─ブワァア!
「!?」

「な、何スかこの凄まじい霊圧は…!?」

「地下からじゃ!!
咲矢に何かあったんじゃろ!
行くぞ喜助!!」





-勉強部屋-

ガキィン!!!
「くっ…」

…やっぱ強ええな、刀自身ってのは。

「咲矢!!何があったんじゃ!?」

「んあ?夜一さん?
何かあったんすか?」

オレはちょうど鷹楼丸と刀を交えていた。

って!質問に質問で返すって意味分かんねーぞオレ!!

「何なんじゃこの霊圧は!?明らかに隊長格以上じゃぞ!?」

「あ〜、発生源オレだったりする?」

「ああ!」

マズいな…

「霊圧…浦原商店からダダ漏れ…?」

「いや、それは大丈夫ッスよ
我が浦原商店は霊圧が漏れないようになっていますから」

「はぁ良かった〜、夜一さんの言う"隊長格以上の霊圧"なら、
虚の大群を呼び寄せかねないからな…」

「咲矢…」

「これでも死神の端くれだからな!
それくらいの心配は出来るぜ!」

「そうじゃな…

時に咲矢、修行は順調かの?
霊圧をたくさん持っている以上、
それをコントロールする術をもっておかねばならんぞ?」

「ああ!心配には及ばねえぜ!
始解はもう修得済みで、今はもう刀での模擬戦闘だ!」

オレは親指をビシッと立てて夜一に向けた。

「それじゃアタシ達は観戦といきますか♪」

「そうじゃな♪」

「え!?マジで言っちゃってる…?」

「当たり前じゃ♪」

オレが見られるの苦手だって、ぜってぇ気付いてるよな。二人とも。
確信犯ですかコノヤロー。






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