めざまし時計がなくてもこの街じゃ生きていける。それを知ったのはこのボロアパートに越してきて二日目のことだった。

壁に斜めにかけられた時計。規則正しく回る針。その長針がやがて6に向かう直前だった。

爆発音と、怒声が辺りに響き渡る。

「…っーー!!!」
ガタガタガタ!!!
壁の薄いこのボロアパートは案外揺れに弱くて走っただけでも部屋がみしみし言う。それが爆発でも起こされたらまぁ大変だ。
「ぐっ…くぅ〜…い、てぇ…っ!時計落ちた…!」
物は落ちるわ埃はたつわ、踏んだり蹴ったりだ。
落ちた時計を確認すると時刻は6:02とある。
「まだバイトまで時間あんじゃねぇかちくしょー」
そう言って夢影はこれまた薄いベッドマットから起き上がる。寒さで体はきしむし水は凍るしで不便な街だけど、暮らしてみれば変わるもので。
「なんだっけ、えー、住めば…住めばなんとやらってやつだっけ」
住めば都で気にならないものである。



(それが日常だからね)

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