▼ みて、きいて、して。
「えーではこれから、第一回私と英のこれからについてを話し合う会議を始めたいと思います!」
「………………ぐう」
「はい国見英くん寝るな起きろー!!」
まだベッドにいる英を起こそうと大声を出せば、布団がもぞもぞとイモムシのように動き出す。
「んぅ…っさいな、俺はまだ寝てたいけど。ほら、名前も一緒に寝ればいいじゃん………ぐう」
「そうはさせん!」
「…ちょっ!」
二度寝なんてさせないんだから! 英が私を布団の中に引きずり込もうと伸ばされた腕。それをこちらが掴みひっぱれば寝起きの英なんていとも簡単に布団から引き剥がすことができた。
「床冷たい…」
「はいおはよー。そんで本題だけどこれ、みえるでしょ!てか目立つでしょ!」
床に胡座をかく英に合わせて私も座り込み、ぐいっと胸元がよく見えるよう服を引っ張ってみせる。
「あー、うん」
「その、無意識…?ってのもあるだろうけど、こんな見えるところにつけられちゃうと私困るの!」
今朝起きてから鏡を見て気付いたもので、私の首から胸元にかけての赤いモノ。それに歯形まであるのだ。こんなものを付けたやつなんて英しかいないわけで…。
「ふーん」
「ふーん、じゃなくてだからね…」
「何で困るの?」
「…………え?」
何故かその言葉にドキリ、とした。 そう少し低い声で言う英の瞳は先程まで寝ぼけ眼だったはずなのに、いつの間にか真剣な眼差しに変わっている。
「えっと、その…」
「見られたら困る男でもいるわけ?」
じりじりと近づいてくる英との距離はどんどん縮まり、英の吐息が耳にかかる程まで近づいてくる。
「そんなじゃないけど!」
「…じゃないけど?」
少し囁かれただけなのに下腹部がきゅんとするのがわかった。そんなことを知ってか知らずか、英は話を続けた。
「じゃあ俺のって証拠をさ、もっとみせて、もっときかせて、もっとさせて」
そんな風に耳元で囁かれては私はもう英には叶わない。 それに気付いていて彼はこの技を何度も使って私を丸め込むのだから質が悪い。それとも、こんな風に自身を求めらること自体に快感を感じてしまう私がダメなだけなのか。
「…ひぁ、ちょっと、英っ」
さっきまで言葉を紡いでいた英の唇にいきなり耳を食まれ、思わず声を出してしまった。
「ん、ほら、名前は俺のでしょ」
とん、と肩を押されれば視界には英以外みえなくなる。
「…はい」
「はーいよくできました」
「何その棒読み………ひっ」
英の顔が離れたかと思えば、移動をしただけで今度は首元に顔を埋められ、甘噛みをされた。
「ちょっ、まだ朝の9時なんだけど!?」
「俺はシたいけど?」
動き出した手はもう私の服の中へ入り込み、腰から上へと英の指がするすると滑り上がってくる感覚に背中が粟立つ。
「名前もシたそうじゃん」
「は、はぁ!そんなこと…んぅ」
喋ろうと口を開いた途端、口内へと英の舌が入り込むと舌を絡めとられる。
「ん、ふっ………ぅ、っはぁ」
「シたくなってきた?」
こんなキスまでされたら私だってしたくなっちゃうじゃん。了承の意味を込めて英の首に腕をまわして抱きしめればこの行為は再開される。 初めに英が冷たいと悪態をついていた床は、もう私の体温が広がり丁度いい温度に変わっていた。
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