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当たり前の惨劇(ハヤマツ)
2011/10/12 15:59


自分の下にいる男は声も出さずにはらはらと泣いている。
突き立てて揺さぶるためのものは、目標を目前にすっかりと冷めてて情けなくだれていた。
喉が酷く渇いて言葉が出ない。否それだけではない。それが何時だったかも分からない。が、いざ繋がるとなって、自分に組み敷かれてる男はか細い声で言ったのだ。

「気持ちよく…ない」

か細い中にはっきりとした意思があった。やめたいということなのだろう。それくらいは分かった。行為を止めた後に何事も無かったかのようになるような希望的観測がないことも。

沈黙は終わりが見えない。
熱はとっくに冷め、身体は冷たくなる。しかしどうでもいい。こっちとら寒いなんて体感よりももっと残酷な真理を身に染みて感じているのだ。

男は泣くというより最早涙を垂れ流しながら、いつまでこの状況が続くのかと時折こちらをちらりと盗み見る。
そうか、これは惨事なのだ。冷静に自分の状況を考えればそれはそれは悲惨だった。

喉から出かかった言葉は出かかるだけに終わる。

それは当たり前の惨劇だった






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