私は平成の女である。名前は…まあ特に語ることでもないので割愛。
そんな私が今生活しているのは明治時代だ。どうしてこんな状況になったかはとんと見当がつかぬ。何でも目覚めたときにはよくわからない場所で雨に打たれていた事だけは記憶している。私はここではじめて軍人というものを見た。しかもあとで聞くとそれはスギモトという軍人中でもとくべつ獰猛で強く容赦のない人間であった。
…ここまで小難しい某小説っぽい語りをしてきたけれど、まあ簡単に言えば私は明治時代にタイムスリップして杉元佐一という軍人に拾われたのだ。そのとき杉元はアシリパさんと白石の3人で金塊のありかを探している最中で、特に行くあてもなく状況もよくわからないうえ、この時代での生活力が0に等しい私はこのままでは野垂れ死にしてしまうと思い地面に頭を擦り付けて「連れて行ってくれ」と頼み込んだことは記憶に新しい。
杉元は強く、アシリパさんは知恵があり技術があり、白石は身体がやわらかい、そんな人たちと行動を共にするのであれば私も何かできることがなければいけない…。そう思い自分のできることを探していた私は、最近特別な能力に目覚めたことに気がついた。

「なあ、あれをやってくれないか?」
「アシリパさんの頼みとあらば喜んで!」
「…相変わらず何が起こってんだか全くわかんねーな……」

なみなみと水の注がれたコップを私が握ると底からしゅわしゅわと細かな気泡が溢れ出し、数秒もするとただの水はサイダーへと姿を変えた。
これが私の能力だ。器に触れると中の液体が炭酸飲料に変化する…それだけの能力である。
どう使うかって?それは今みたいにアシリパさんに頼まれて炭酸飲料を作るか、白石のオハウを炭酸入りにして嫌がらせするくらいしか使い道がない。要するにオソマみたいな能力だ。

「私ってなんのためにここにいるんだろう…」
「こっちが聞きてえよ…」


なんだこれ?