「…アシリパさん、俺めっちゃ睨まれてない……?あの人アイヌじゃなくて普通の日本人っぽいけど俺なんかしちゃったかな」
「ああ、あいつは先月私が雪山で拾ったんだ」
「雪山?遭難してたの?」
「あいつが言うには気が付いたら雪山に迷い込んでとかでな…着物じゃなくて杉元のその上着みたいな形の服を着てたから珍しくて拾った」
「その犬みたいな言い方やめな?」
「コラーッそこの男!さっきから距離が近いですよ!!アシリパちゃんに近付きすぎないでくださいこのけだものッ」
「けだもの!?そんなんじゃねえよ落ち着け!」
「命の恩人がどこの誰ともわからない馬の骨を連れて帰ってきたのに落ち着いてられるかッ」
「落ち着け、杉元はいいやつだぞ」
「あ…アシリパちゃん……」
「えっと、俺は杉元佐一。よろしくな」
「……るか…」
「え?」
「よろしくしてたまるかーーッうわああああん!アシリパちゃんは渡さないんだから!!!!」
「(なんなんだあいつ…)」