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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
※嘔吐描写注意


今日は浴びるように酒を飲んだ。自分でも何であんなに飲んだんだろうと不思議になるくらい、ジョッキを空けグラスを空け飲んで飲んで飲みまくった。
嫌なことがあってそれに対する鬱憤を晴らそうと思って居酒屋に入ったことは覚えているけど、その“嫌なこと”がなんだったのかもうさっぱり思い出せない。今私に残っているのは、服や髪にこれでもかというくらい染み付いた煙草臭さと、尋常じゃない吐き気だけだった。

「やっとこっち見たか!ホラ水のめ水!」
「さ、サ"イタマ"…………?」
「ったくよぉ、急にうちに来たかと思ったらドア開けるなり吐きそうなんて言いやがって!しかもそのままぶっ倒れるしよ!」
「ぎぼぢわるい」
「ホラここトイレだから安心して吐け!」
「便器に顔近付けさせないで…っぶ、お"、お"ェえっ…!」
「どんだけ飲んだんだよお前…普段あんまり飲まねーくせに無茶すんなよな」
「ぐッうッ、うう…」
「背中さすってやっから」

嫌なことがあって、酒に頼るほど弱っていて、意識を飛ばすくらい酒を飲んだ足でなぜ自分の家でなくサイタマのところへ来たのか。
朦朧とする意識の中、背中に触れるあたたかな手の感触と投げかけられる声の優しさに、なぜ私が今日ここに来たのかを悟った。

「…サイタマ…………」
「んだよ」
「すき…………」
「は」
「サイタマのこと、めちゃくちゃすき…」
「えっちょっと、あ?え?マジ?えっ!?」
「う"っおえっお"え"えぇっ」
「ゲロ吐きながら告白してんじゃねーよ!マジかお前!」