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最近、深く眠るといつも同じ夢を見る。どこかわからない薄暗い部屋で男性に組み敷かれ、耳元で延々と睦言を囁かれながら抱かれている、そんな夢だ。私は欲求不満なのかもしれない。
相手の男性はおそらく私より一回り以上は歳上じゃないかと思わせる貫禄があり、かなり屈曲な人だ。最初にこの夢を見た朝は自分はゴリラに襲われたんじゃないかと思った。でもその無骨そうな外見とは不釣り合いなほどに、囁かれる言葉の数々は砂糖のように甘く、私の身体を布団へと縫い付ける手つきは柔らかい。
そんなことを何度も何度も体験(…と言ってもいいのかは分からないけれど)していれば、自然と相手に惹かれてしまっても仕方がないのではと思う。夢の中にしか存在しない存在に惹かれるってどういうことだよ、という思いが自分の中に無いわけではないが、気になるものは仕方がない。女はギャップに弱い生き物なのだ。
今日も彼の姿を見ることができるだろうか。名前も知らないあの人に想いを馳せながら、今日も今日とて疲れた身体を引きずってベッドへと潜り込んだ。

「おやすみなさい」