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- ナノ -
「ドリンクの準備できました、若林監督」
「ん?ああわかった、そろそろ皆休憩させるか」
「声掛けてきます」

小走りで駆けていく華奢な背中に思わずため息が出そうになってしまい、いかんいかんと気を引き締めた。
頼んだ仕事はてきぱきとこなし、言わずとも自分のすべきこと以上の働きを淡々とする彼女は非常に優秀なマネージャーだ。いつも物静かで大人びているが、幼なじみの桐渕と話している時にたまに見せる笑顔は年相応で可愛らしい。自分の学生時代にもあんな娘がいたら少しは日々が華やいでいただろう、男所帯で日々練習に試合に忙しい彼らにとって彼女の存在は癒しであり、付き合いたいと思っている奴も少なくないのではないだろうか。俺も学生であったならそう思っていたと思う。
あくまで、学生であったなら、だ。

「休憩に入って貰いました」
「ありがとう、お前も休憩してくれ」
「私はいいです。まだビブス洗いおわってないですし」
「そうか?いつもグチャグチャのヤツを大量に渡して悪いな」
「いえ…清里のためですから」

俺の目をじっと見つめてくる瞳の熱っぽさに耐えきれず目を逸らす。これだ、これさえなければ優秀なマネージャーだなあと手放しに彼女に感謝できるんだが…この瞳が俺を悩ませる。
痛いほどの好意が滲む視線、彼女を褒めるとほんのりと桜色に色付く頬、エトセトラ。一応俺も男だ、それらの意味に気付かないほど鈍感じゃないし、嬉しくないわけでもない。
だが俺はいい齢した大人で、何よりここのホッケー部の監督である責任がある。軽率に彼女に手を出したと思われるようなことをしてしまい教育委員会的なあれやそれの問題を引き起こしてしまうと立つ瀬がない。
そんなことを考えているうちに邪なことを考えているようでなんとなく目を合わせづらくなってしまって思わず頭を掻いた。純粋な女子高生相手に俺は何を考えてるんだ。向こうにそういう気があったとしても、俺は彼女を生徒としてだけ見ていればいいだけの話なのに。

「…若林監督?」

ああ、その熱い眼差しをやめてくれ。


いつか…いつか短編に昇華させたい…………
私はいつになったらスピナをちゃんと書き上げられるんだ…