「…ずるい」
「は?急にどーしたんだよ」
「ずるい!慶ちゃんも浩ちゃんもケンゴくんもずるい!!」
「落ち着けって…」
「ずるいって何がだよ!」
「三人は勇払で日本一になれるけど…私だけ三人といっしょの舞台に立てない!どれだけ頑張ってもだめなんだもん…!」
「お前もいっしょに勇払いってホッケーすればいーじゃん!」
「慶ちゃんのバカ!女は大会出れないじゃん!」
「マネージャーになってインターハイに一緒に行くのはどうだ?」
「…それじゃヤダ」
「わがままだなーお前!兄ちゃんの提案が一番いいじゃん!」
「私たち四人でやったっていうのがいいの!それに部員みんなのおせわして私だけホッケーしないなんてやだ!」
「お前負けず嫌いだもんなあ」
「裏方とかいうタイプでもないしなー」
「じゃーどうしたらいいんだ?ケンゴくんはどう思う?」
「オレ?」
「さいねんちょーだしなんか思い浮かぶかなって!」
「慶ちゃんにしては冴えてる…」
「なんだと!?」
「そーだなー…じゃあ、オレたちだけのマネージャーしてくれればいいんじゃないか?」
「三人だけのマネージャー…?」
「栄養管理とか、身の回りのこととか、そういうのをオレたちのためだけにやってくれればいいんだよ」
「………」
「イヤか?」
「イヤじゃない…けど……」
「なんか顔赤いぞ?どーしたんだよ」
「風邪か?慶一お前こないだまで風邪引いてたからうつしたんじゃないのか?」
「か、風邪とかじゃなくて…なんかそれってお嫁さんみたいだなって…」
「「「!?」」」
「だ、だってふつうは幼なじみの栄養管理なんてしないでしょ!?身の回りのこととかも…!」
「お前みたいな嫁いらねーよ!」
「私だって慶ちゃんみたいなすぐ怒るひとやだよ!」
「じゃあオレも短気だからイヤ?」
「…ケンゴくんならいい」
「お前ケンゴくんのこと好きだったのか?」
「三人とも好きだけど…ケンゴくんのお嫁さんは一番うれしい…かも…」
「じゃー約束だな!オレたちは勇払で日本一になる、お前はそれをサポートする!」
「そんでケンゴくんの嫁、だな」
「こんなんが嫁じゃケンゴくんがかわいそうだけどな!」
「慶ちゃんうるさい!」



「あの約束覚えてるか?」
「うん、覚えてるよ」
「お前はずっとオレたちを支えてくれて、浩一は居なかったけど…勇払が日本一になった」
「今じゃ浩ちゃんも慶ちゃんもU18に呼ばれるくらいになったし…凄いなあ…」
「残る約束はあと一つ、だな」
「うん」
「…オレと結婚してください」
「もちろん、です」